研究実績の概要 |
エモーショナル・フィットネスのための心拍制御システムのプロトタイプを設計し、Arduino Uno R3に実装した。システム構成は、走者の心拍数を測定するパルスセンサー、走者に走行リズムを聞かせるためのスピーカー、心拍数データを記憶するためのSDカード、システムを駆動するための携帯型バッテリーからなる。 リズム音による走者の心拍制御法は、次の通りである。1.走者が聞くリズム音は4 種類, 速い方からUpテンポ(1 回/0.6 秒)、Mediumテンポ(1 回/0.7 秒)、Slowテンポ(1 回/0.8 秒)、Noneテンポ(1 回/0.95 秒)とした。2.制御則は、目標心拍数との差Eとその微分値ΔEに基づいてテンポを変更するルールを作成した。3.システムは10秒ごとに心拍数を計測し、ルールより決定したテンポのリズム音をスピーカーから出力する。 野外走行実験は次の通り。1.走者A、Bはトレッドミル上を0[km/h](安静状態)、4[km/h]、8[km/h]で走行し、心拍数を計測する。2.先行研究に基づき3心拍数よりAT(無酸素性作業閾値)を推定し、エモーショナル・フィットネスのための最適心拍数を決定する。3.走者は心拍制御システムを装着し、リズム音に従って10分間の走行を行う。また、翌日には心拍制御システムを装着を装着せずに10分間の走行を行う。 実験結果は次の通り。走者Aの場合、最適心拍数は138.9[bpm]であり、10分間の平均心拍数はリズム音ありで139.8[bpm]、なしで163.8[bpm] となった。走者Bの場合、最適心拍数は124.9[bpm]であり、10分間の平均心拍数はリズム音ありで129.5[bpm]、なしで131.7[bpm] となった。 以上より、本研究で開発した心拍制御システムのプロトタイプはエモーショナル・フィットネスを実現・実用化するに十分なシステムであることが確認できた。
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