研究課題/領域番号 |
25330333
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荻島 創一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (40447496)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生命情報 / 疾患アトラクター / 遺伝子-環境相互作用 / GxE |
研究実績の概要 |
癌アトラクターの遷移のシステム論的解明として、癌の転移・悪性化において起こる上皮間葉転換について、その時系列の遺伝子発現データを解析し、遺伝子発現ポテンシャル上での癌細胞の安定状態、すなわち癌アトラクターの遷移として明らかにするため、遺伝子-環境相互作用(G×E)の遺伝子発現ポテンシャルへの影響を評価する必要がある。そのため、遺伝子-環境相互相互作用(GxE)の疾患発症との関連への影響を評価した。癌などの多因子疾患の発症・進行には、遺伝因子と環境因子が複雑に相互作用して関与しているが、しかしながら、遺伝因子(genetic factor: G)および環境因子(environmental fa ctor: E)と発症の、複雑な遺伝子-環境相互作用(G×E)を解明する方法論はいまだ確立されていない。遺伝因子のみでは高々1倍程度のオッズ比だが、遺伝因子と環境因子の相互作用では相乗効果により3倍以上のオッズ比となる報告があり、遺伝因子と環境因子間の相乗効果は非線形性をもつと考えられ、その関係は複雑である。遺伝子-環境相互作用(G×E)について、遺伝因子と環境因子間の相乗効果は非線形性をもつと考えられる。遺伝子-環境相互相互作用(GxE)の疾患発症との関連への影響を評価するため、100の遺伝因子(遺伝子型), 性別, 20の環境因子のHapMap3のJPT+CHBのデータ等に基づいたシミュレーションデータを生成し、疾患発症とのCochran-Mantel-Haenszelカイ2乗検定によるy関連解析によるP値を計算した。遺伝因子と環境因子の張る平面に対する、疾患発症との関連のP値に基づくポテンシャルのランドスケープを計算・可視化して、解析を実施し、遺伝子-環境相互相互作用(GxE)の疾患発症との関連への影響を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに研究を実施しているため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子-遺伝子発現-環境ポテンシャル上での癌細胞の安定状態、すなわち癌アトラクターの遷移解析を行う。また、遺伝子発現量空間において相空間を定義し、アトラクターを同定したが、この相空間を張る基底となる遺伝子群について、それらの遺伝子間の転写調節ネットワークを解析し、アトラクターの形成要因を探る。これには、申請者がPLoS Genetics誌に報告した、統合プロモータ解析による発生・分化の転写調節ネットワークの計算機による同定手法を用いる。申請者がBioinformatics誌に報告した、転写調節ネットワークと遺伝子発現の3D可視化アプリケーションBioCichlid は、セントラルドグマに則して階層的に3D可視化するもので、上層のタンパク質のシグナル伝達系、下層の遺伝子・mRNAの遺伝子調節ネットワーク、上層と下層をつなげる転写調節ネットワーク、mRNA上の棒グラフのアニメーションで時系列の遺伝子発現変化を可視化するものである。これを改良し、遺伝子-遺伝子発現-環境の相互作用を可視化し、遺伝子-遺伝子発現-環境の相互作用による癌アトラクターの形成要因を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度請求額とあわせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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