本研究課題では、計算機シミュレーション及び数理解析により多剤併用療法に代わる致死的変異生成法に基づいた新規エイズ治療法を確立するための基礎的研究を実施した。この治療法では、変異原によるウイルス遺伝子変異によりウイルスから感染能力を奪うことでウイルス感染者からウイルスを排除する。結果としては、この代替療法により体内のHIVを排除するには少なくとも次の二つの条件を満たす必要があることが明らかになった。それらは、1)変異原の効用はある閾値を超えていること、2)野生型HIVのウイルス産生率はある閾値以下であること、である。特に1)は変異原KP-1461の第二相試験が失敗した原因と考えられる。
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