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2014 年度 実施状況報告書

量子化学計算によるリボソームにおけるペプチド結合形成の反応機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25330343
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

福島 和明  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00273730)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードリボソーム / ペプチド結合 / 反応機構 / 量子化学計算 / ONIOM法
研究実績の概要

本研究の目的は、生体内の巨大な複合体であるリボソームにおけるペプチド結合形成反応の段階的な反応機構を、量子化学計算によって検証することである。
申請者らは先行研究で、リボソームにおけるペプチド結合形成について、プロトンが移動しながら反応を触媒するプロトンシャトル機構を提案した(K. Fukushima et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2012, 85, 1093)。平成25年度に申請者は、申請備品のワークステーションを用いてプロトンシャトル機構の詳細について検討を行い、先行研究よりも広い領域に量子化学計算(B3LYP/6-31G(d,p))を適用したONIOM計算によって、二つの遷移状態と反応中間体の粗い構造を求めた。
平成26年度は前年度の成果を基にさらに精密な計算を行い、プロトンシャトル機構の反応物、二つの遷移状態、反応中間体、生成物のすべてについて精密な最適化構造を求めた。先行研究で得られていた二つの遷移状態のONIOM計算によるエネルギーは、49.7 kcal/mol と 66.7 kcal/mol であったが、本研究で得られた遷移状態のONIOM計算によるエネルギーは、それぞれ 29.5 kcal/mol と 41.4 kcal/mol であった。また、反応活性中心のみをとりだした量子化学計算(B3LYP/6-31G(d,p))による遷移状態のエネルギーは、先行研究では 38.2 kcal/molと50.9 kcal/mol であったが、今回の計算では、27.3 kcal/mol と 32.4 kcal/mol であった。
平成26年度に行った計算の結果、ONIOM計算において量子化学計算の適用範囲を広げることにより、先行研究よりも低い活性化エネルギーを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成26年9月に和歌山県立医科大学から兵庫医科大学へと所属を変更した。新しい所属における研究環境の整備に2ヵ月程度の期間を要し、その間研究を中断せざるを得なかったために、当初の予定よりも研究の進捗はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

平成26年度の研究によって、先行研究よりも低い活性化エネルギーを得ることができたが、二段階目の遷移状態のエネルギーは、まだ十分に低いとは言えない。現在、反応の二段階目に関しては、他の経路を探索中である。そこで今後は、二段階目の新たな経路の探索を進めるとともに、一段階機構などの他の反応機構についての計算も行い、既に求めた反応経路とエネルギーを比較する予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度の9月に所属を変更したために研究の進捗が予定よりも遅れ、論文投稿や学会発表などの成果発表ができなかったことにより、次年度使用額を生じた。

次年度使用額の使用計画

本研究の前半部分である、先行研究の検証は順調に進んだが、後半部分である他の反応機構との比較は、計画よりも遅れている。そこで、この遅れを取り戻すために、昨年度分の繰り越し金と今年度分の予算を合わせて、新たにもう一台のワークステーションを購入し、研究の速度を速める予定である。なお、科研費の残り金額ではワークステーションを購入するのに不足が生じる場合には、科研費と合算可能な予算を用いて、不足分を埋め合わせるつもりである。

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公開日: 2016-05-27  

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