研究課題/領域番号 |
25330348
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 健吾 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20365472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | RNA二次構造 / マルチプルアラインメント / バイオインフォマティクス |
研究実績の概要 |
RNA構造アラインメントは古くから研究されているにも関わらず,未だに計算量が大きいという問題がある.このため,長鎖非コードRNAやRNAウィルスのような比較的長いRNA配列に関しては,「配列を比べる」という基本的な解析すら厳密手法では満足に行えない状況である.本研究では,期待精度最大化と双対分解に基づく革新的なアルゴリズムにより,シュードノットおよび非正規塩基対からなる拡張二次構造やRNA-RNA相互作用による複合二次構造などの複雑な高次構造を考慮したRNA構造アラインメントを高速かつ高精度に計算する手法を開発することを目的とする.本年度は,局所RNA構造アラインメントをマルチプルアラインメントに拡張するための定式化,さらにそれに基づいたプロトタイプの実装を行い,理論通りに動作することを確認した.しかしながら,現時点では実行速度に問題があるため,実装上のさらなる改良が必要である.他分子との複合構造を考慮するアラインメントモデルの開発に向けて,RNA-タンパク質間の塩基・残基レベルの相互作用を定式化し,機械学習に基づき最適な複合構造を推定するアルゴリズムの開発を行った.最適化アルゴリズムの変更により,大幅な予測精度の向上が見られた.また,本手法で開発した技術を遺伝子予測に応用し,RNA-seqによって得られた情報をこれまでの遺伝子予測に統合し,より正確な予測を可能とするアルゴリズムを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他分子との複合構造を考慮したアラインメントモデルの開発へ向けたRNAタンパク質間の塩基・残基レベル相互作用予測モデルの実装がほぼ完了し,局所RNA構造アラインメントのマルチプルアラインメントへの拡張もプロトタイプ実装が完了しており,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
局所RNA構造アラインメントの実装を完成させる予定である.非正規塩基対を考慮したRNA二次構造モデルを統合したモデルの設計を行う.さらに,他分子との相互作用を考慮した構造アラインメントモデルを完成させる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿料が当初の予定よりも少なく済んだことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
Webアプリケーション用計算機サーバを増強する。研究成果を学会発表するための旅費および学会参加費に使用する。
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