通常、明るさ順応やコントラスト順応という言葉で表すコントラスト利得制御は、網膜において絶えず変化する網膜上の明るさ変動を滞りなく脳・中枢神経系へと情報を伝送するための重要な視覚情報前処理機能の1つである。本研究では、網膜内でそれを実現する最初の神経回路である錐体-双極細胞について、過去の生理実験結果に基づいたイオン機構に基づく数理モデルを構築した。また、それを用いたシミュレーション解析より、錐体の光変換機構や、錐体からの情報伝達を受けるオフ型双極細胞のグルタミン酸レセプタには、コントラスト利得制御に関わる機構が内在することが示唆された。
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