本研究では、哺乳類の代表的な抗菌ペプチドの一つであるディフェンシンファミリーに属する分子(Crp-4)に着目した。レプリカ交換分子動力学シミュレーションにより、進化的に保存されている3つのジスルフィド結合の有無が、負に帯電した膜近傍の環境における立体構造分布に及ぼす影響を明らかにした。ジスルフィド結合の数を減らすとともに、ペプチド分子に含まれる正電荷部位と疎水的部位の空間的分布が変化することを示した。特に、Cys11とCys28の間のジスルフィド結合の有無がもたらす影響が、抗菌活性と相関している可能性がある。さらに、脂質二重層と結合している状態における立体構造や相互作用を解析した。
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