本研究では、胸部高分解能CT画像による診断において、画像処理・パターン認識技術を用い、異常陰影を高精度に自動検出するとともに、異常陰影の分類毎に色付け表示し、医師が見落としなく診断できるようなコンピュータ診断支援(CAD)システムを構築することを目的とした。 より高精度な異常陰影自動検出のため、「局所ヒストグラム特徴」と「局所スライス特徴」とを組み合わせた特徴を検討した。相異なる特徴を組み合わせることにより識別性能が改善することを期待した。すなわち、濃淡情報を反映した「局所ヒストグラム特徴」と、形状情報を反映した「局所スライス特徴」とを組み合わせることにより、さまざまなタイプの異常陰影に対応可能と期待した。ここで、異常陰影の識別方法について、2つの相異なる特徴の組み合わせ方の検討が課題となった。 そこで、2つの相異なる特徴を組み合わせるために、特徴同士のギャップを埋めることを検討した。本研究では、2種類の方法、リスケール法と標準化法による正規化を検討した。リスケール法とは、各特徴の値を0から1の間にリスケールするものである。一方、標準化法とは、各特徴が標準正規分布に従うように変換するものである。 計算機シミュレーションの結果より、正規化された組み合わせ特徴は、正規化されていない組合せ特徴に対し、ごくわずかであるが有効であることがわかった。 最終的には、胸部高分解能CT画像における、びまん性異常陰影の誤識別率は4%を切るところまでの研究成果を挙げた。
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