研究課題/領域番号 |
25330360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
兼岩 憲 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00342626)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | セマンティックウェブ / RDFデータ |
研究概要 |
本研究では、セマンティックWebデータから意味的推論を可能にするために、(i) クエリ生成のための上位オントロジーの構築、(ii) ユーザー入力からクエリタイプを自動生成するメカニズムの設計、および (iii) 意味的推論システムのアルゴリズム設計、を実現する。 平成25年度では、初年度としてリンクトデータ・プロジェクトやセマンティックWebの研究動向についてRDF推論や論理的推論を備えた既存システムの調査を行った。特にRDFデータを格納しクエリを発行できるシステムのうち,世界的に使われているJena、Virtuoso、Sesame、OWLIMを選定し、実際にベンチマークデータをローカル環境に読み込んで推論エンジンとしての性能を調べた。 既存システムを調査する一方で、本研究の特徴である複雑なクエリの実現のために、上位オントロジーの構築とそれを適用した意味的推論について理論的な分析を行った。特に、事象や合成的な概念のような論理的分析だけでは説明できない対象をオントロジー的な深い分析によってモデル化している。 さらに、意味的推論を使わない従来のキーワード検索(具体的にはRDFクエリ)では探すことのできない推論例や複雑なクエリを書かないと導くことのできない推論例を分析した。これを基にして、従来のRDFクエリでは導出できない記述論理の表現に対する変数をRDFクエリ文に記述できるようにしている。その結果、記述論理の表現を含まないRDFデータからでも、複雑な記述論理表現を含むクエリ結果を出力できる推論メカニズムの形式化を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画にある項目をそれぞれ実施していることから、次に述べるようにおおむね計画通り順調に進展していると言える。 まず、関連文献を調べるだけでなくよく知られているRDFストアシステムの性能を調査することで、リンクトデータ・プロジェクトやセマンティックWebの研究動向や最新技術について把握できた。 上位オントロジーについては事象や合成的な概念に注目してモデル化したことにより、上位オントロジーの設計とそれを適用した意味的推論の特性を分析することが達成できた。 また、記述論理表現を許したクエリの形式化により、従来のキーワード検索では探すことのできない推論例や複雑なクエリを書かないと導くことのできない推論を可能にするメカニズムの基礎が実現できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は25年度の調査・分析の結果や理論的な基盤を用いて、セマンティックWebデータから意味的推論を可能にするクエリシステムや推論アルゴリズムを実現していく。 その中で、本研究ではリンクトデータから推論するために、クエリ自動生成を可能にする上位オントロジーを用いた意味的推論メカニズムのプロトタイプを設計し機能を分析する。 また、ユーザーの関心と求めている情報の候補とのギャップを埋めるために、記述論理を用いて意味的推論をどう強化できるか分析しなけらばならない。 そのためには、DBpediaなどの大規模なセマンティックWebデータを用いた実験を行い、ユーザーの漠然とした関心をどのような形のクエリタイプへ変換していけば、必要とする価値ある情報を探す手がかりになるかを調べていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の一部の成果を論文誌に発表して掲載料に使用する予定であったが、査読が予定より延長して年度内に発表できなかったためである。 次年度使用額に関しては、研究成果の発表にかかる経費に使用する予定である。
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