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2013 年度 実施状況報告書

自律分散的コミュニティ形成のダイナミクスと学習効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25330361
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山形大学

研究代表者

田中 敦  山形大学, 理工学研究科, 准教授 (30236567)

研究分担者 多川 孝央  九州大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70304764)
安武 公一  広島大学, 社会(科)学研究科, 講師 (80263664)
武田 利浩  山形大学, 理工学研究科, 助教 (90236472)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードコミュニティ形成
研究概要

本研究の目的は,SNSにおけるネットワーク,特にそのコミュニティの形成メカニズムを解明することである.25年度においては,SNS データの分析とゲーム理論によるモデル構築が主たる目標であった.
前者においては,新学術領域研究(20200042)で構築されたトモCOMと福井県内で実施されている戦略的大学連携支援事業Fレックスの2つの SNS から,人間関係ネットワークの構造を時系列的に分析した.分析手法としては,トモCOMにおいて用いたクリークパーコレーション法を同様に用い,Fレックスのネットワーク構造を調査し比較検討を行った.その結果,2つのSNSは基本的には同じ構造であったが,全体として単連結でないこと,クラスタリング係数がやや低いままで推移すること等の違いが明らかになった.これは,トモCOMが完全招待制のに対し,Fレックスが登録制であることによる違いであると推察された.
後者においては,連携研究者の今井らが中心となって,ゲーム理論によるネットワーク形成モデルを用いて,状態空間分析を行った.SNSは各個人が利己的に振る舞って関係を形成するものとして考えられ,その安定状態を解析することで,コミュニティの形成の予測及びメカニズム解明につながることが明らかにされた.
以上の分析とモデル化の研究及び研究分担者らによる教育工学における研究の諸成果は,2013年9月17-19日,ドイツで開催された国際会議AUTOMATA2013及び,10月25,26日に山形県南陽市で行われた研究会において発表され,今後の方針も含めて広く議論された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の大きな目的は,SNSにおけるコミュニティの形成メカニズムを解明することである.そのために,異なる2つの学生向けSNSの人間関係ネットワークを分析した.
1つのSNSの分析については既に行われているので,同じ手法でもう1つのSNSを分析した.同じ手法で分析を行い比較することは,分析結果の信頼度を上げることになり重要である.研究実績の概要に記述しているように,その結果概ねネットワーク構造としては同じであるが,SNSの仕組みに起因すると思われる違いも観察された.目的に記載しているスモールワールド性の出現の検証については,Fレックスのネットワーク構造が単連結ではないことやクラスタリング係数がそれ程高くはないことから検証は行わなかった.しかし,構造の階層性があるかどうかは,それとは別に検証することは可能であると考えられるので,今後の課題とすべきである.
コミュニティ形成のダイナミクスの解明に関しては,ユーザの興味・関心に関するデータがうまく集まっていないこともあり,この点においては大いに反省すべき点であり,今後何らかの方策を考えていく.
コミュニティ形成のゲーム理論的解明に関しては,状態空間の解析として一定の成果が得られているが,まだまだ個体数が小規模に留まっており,大規模な分析を行うことが急務となっている.これには大規模なコンピュータの活用が不可欠であるが,それが可能となるように進めている.また,実際のSNSに照らし合わせたモデル化は不可欠であり,そのモデルの構築を急ぐ必要があると考えられる.
以上25年度の計画は,課題とすべきことは多いものの,7割程度は達成されていると考えている.

今後の研究の推進方策

今後の研究推進方策としては,まず昨年度に引き続きネットワークデータの分析が急がれる.
具体的にはFレックスのスモールワールド性の検証を進めながら,他の分析手法を開発することに取り組む.さらにコミュニティ形成ダイナミクスを解明するために必要なユーザの興味・関心に関する情報を得るため,SNS内で交されている情報を分析することやアンケートの実施も視野に入れる.モデル分析では,SNSにおける関係性を具体的に記述できるモデルへの改良を図し,シミュレーションの大規模化も同時に進めていく.
さらに,研究の大きな柱として実証実験が必要であり,どのような実験をすることが効果的な検証を与えるかについて慎重に検討する必要がある.25年度に開催した研究分担者・連携研究者との研究会において,グループ学習における観察が候補として議論されたことを考慮し,ソーシャルメディアをいかに活用するかも含めて検討を行う.ソーシャルメディアの有効活用に関しては,以前の科研費研究グループメンバーへの協力要請を有力な候補として考えている.

次年度の研究費の使用計画

残金が少額であることに加えて、次年度のサーバ増強に向けた資金にするため。
サーバに増強及びソフトウェアの更新にあてる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Analysis of discrete state space partitioned by the attractors of the dynamic network formation game model2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Imai and Atsushi Tanaka
    • 学会等名
      19th International Workshop of Cellular Automata and Discrete Systems
    • 発表場所
      Giessen University(ドイツ)
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] 利己的・分散的な多主体による複雑ネットワーク形成モデルの並列計算技術による大規模化へ向けた評価2013

    • 著者名/発表者名
      今井哲郎、田中敦
    • 学会等名
      第10回ネットワーク生態学シンポジウム
    • 発表場所
      かんぽの宿 有馬
    • 年月日
      20130902-20130903

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公開日: 2015-05-28  

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