本課題では,ソーシャルメディアの先導的応用の観点から次の2つのテーマについて研究を行っている.(1)ソーシャルコンテンツの派生過程のマイニングでは,派生によりバージョン集合が生じているコンテンツの派生関係を正確に再構築し,派生時期の最新性・成熟度への応用を行う.(2)ソーシャルメディアにおけるプライバシーマネジメントでは,ユーザの目的にあったプライバシー情報のマネジメントという観点から,マイニングを行い適切なプライバシーポリシーを推薦する手法の開発を行う.平成27年度の研究成果の概要は以下の通りである. (1)ソーシャルコンテンツの派生過程のマイニング 派生過程のマイニングでは,Wikipediaの編集履歴において,時系列においてバーストを生じているフレーズを抽出する方法についてモデル化を行い,編集頻度からバーストを起こしているフレーズを求める実験を行った.関連して,Wikpediaのような長い記事の節に対し,内容に関連した代表的なフレーズを抽出する方法について検討し,もともとある節タイトルに意味的に近いフレーズを求める有効ないくつかの手法とその組み合わせについて評価を行った.またリンク構造や意味的近接性を用いて,記事中の出現語句から関連した記事へ,曖昧性を解消してリンク付けする方法について,手法の提案と評価を行った. (2)ソーシャルメディアにおけるプライバシーマネジメント ユーザが投稿を一般に公開するのは,プライバシー漏えいのリスクから慎重に行われると考えられる一方で,音楽活動や政治的発言といった,投稿が多くの人の目に触れる必要性がある場合には,投稿を公開する動機が働くと考えられる.公開された投稿の分類を行って,典型的な5つの投稿意図類型をまとめ,さらにユーザプロファイルなどの観測可能な項目から投稿意図の予測因子となり得るものの解析を行った.
|