研究課題/領域番号 |
25330372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
久代 紀之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50630886)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ライフパターンセンサ / スマートメータ / 生活イベント検知 / ホームエネルギーマネジメントシステム / スマートグリッド / サイバーフィジカルシステム / 生活データ |
研究概要 |
本年度は、ライフパターンセンサによる機器同定推定・生活パターン同定アルゴリズムの確立を目的に、機器消費電流波形の再現性、実電力線上における機器消費電流波形の伝搬の安定性に関するフィールドデータ収集および左記データに基づくアルゴリズム、ライフパターンセンサとしての実装方式の検討を実施した。 1. フィールドデータ収集装置の開発とフィールドデータ収集開始:機器電流波形蓄積、機器運転履歴収集、生活パターン収集で構成される基本データ収集ツールを開発し、フィールドに設置し、基本データの収集を開始(2軒)した。 2. 上記収集フィールドデータに基づき、ライフパターンを実現するための前提のなる下記要件の成立を確認した。(1)生活パターンと機器使用履歴の関係:特定の機器の使用が、特定のライフイベントへ強くリンクしていることを確認し、機器使用からライフイベントを推定できることを確認(2)生活パターンと電力使用量の関係:生活パターンから、1日の電力需要予測が可能であること、生活者にライフイベントを知らせることで居住者が自身のライフイベントを調整することで、簡便に電力需給ができることを確認した(3)消費電流波形の再現性と電力線状況による伝搬の安定性の評価:生活パターンを推定するために必要となる機器(例:電子レンジ、ドライヤー等)動作時の力率は、ほぼ1と見なせることから、電力線状況による機器電流波形への影響は小さいことを確認した。但し、電源電圧変動(正規分布)により機器電流波形が変動するため、この対応が重要であることを確認した。 3. 電源電圧変動による電流波形変動を加味した機器動作推定アルゴリズムを検討、左記アルゴリズムを組み込みHW(SH2マイクロコンピュータ)上に一部実装し、ライフパターンセンサ機能のスマートメータ上の組み込みソフトウェアとしての実現可能性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年初に計画した年度実施計画に記載した項目を100%達成し、各項目に関しても次年度研究につながる十分な成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構築したデータ収集システムで取得したデータに基づき、アルゴリズムの改善および生活パターンとエネルギー消費関係のモデル化を実施する。 1.フィールドデータ収集設置軒数の拡大:フィールドデータ収集システムの設置家庭を4軒に拡大し、生活パターンと機器使用履歴の関係、生活パターンと電力使用量の関係、消費電流波形の安定性に関するモデルの精緻化を実施する。 2.生活パターン同定性能の評価とアルゴリズム改善:初年度に試作した電圧変動への対応アルゴリズムを搭載したライフパターンセンサソフトウェアを実装する。フィールドデータ収集装置にて収集したフィールドデータ(5軒分)でライフイベントセンサの評価を実施し、この結果に基づきアルゴリズムブラッシュアップを実施する。これと並行し、同ソフトウェアの組み込みハードウェアへの搭載を行い、スマートメータのアプリケーションとしての実現の可否を検討する。 3.ライフパターンセンサを用いた生活パターンと住戸におけるエネルギー消費関係モデル化:生活パターンと使用機器、エネルギー消費の関係に関する定量的なモデルを構築する。左記モデルに基づき、目標とするエネルギー需給を達成するための機器能力制御・計画運転による需要最適化手法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は、大学外部協力者(三菱電機(株))から電流波形蓄積装置および機器運転状態モニタ装置の一部機器の貸与を受けたことにより、新規購入の要がなくなり予定額との差異が発生(351千円)、旅費は、発表を予定していた国際学会が国内開催(北九州)となったこと、研究協力者との打ち合わせ場所が実機のある大学での開催となったことから差異が発生(731千円)、人件費・謝金は、フィールド試験の協力謝金を予定していたが、大学外部協力者の家庭の協力が得られたことから不要となり差異が発生(20千円)した。 学会参加費用、論文別刷り等の費用をその他に計上したため、当初予定より72千円超過した。 初年度実施内容により良好な成果が得られたため、海外発表を含めた発表件数を増加する(海外2件、国内2件以上予定)、ライフパターンセンサ実用化に必要となる評価用ライフパターンセンサ+その開発装置の充実に当てる。また、本年度は、実際の実験住宅での評価等を予定しているため、大学外部協力者への出張機会が増加する予定であり、差分費用を本費用に充当する。
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