| 研究課題/領域番号 |
25330376
|
|---|
| 研究機関 | 愛知大学 |
|---|
研究代表者 |
阿部 武彦 愛知大学, 経済学部, 教授 (60298320)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| キーワード | 生産性向上 / 介護 / センサ / 人工知能 |
|---|
| 研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果の具体的内容は、次の2点である。（1）ハイブリッドセンサを用いた歩幅・関節駆動制限における歩行識別に関する研究を行い、その成果を口頭発表した。（2）圧力センサから得られる足底圧力値を用いた歩行者の属性推定手法の改善を行い、国際会議（査読有）、および学術論文（査読有）として発表した。
研究の成果（1）の意義は、本研究課題の目的の一つである「介護従事者を対象とした知的行動計測システム」の機能のうちの、介護従事者の移動・作業中の前後、左右、上下の動きをとらえるための基盤技術となりえる点である。さらには、被介護者の歩行状態を評価して、より適切な介護サービス提供を実現できる可能性をもつ。研究の成果（1）の重要性は、装着が負担とならない簡易なセンサを、人体のどの部分に装着すれば人間の動作をより推測しやすいかを実験し、従来の腰への装着よりは爪先への装着が好ましいことを明らかにした点である。
研究の成果（2）の意義は、圧力センサから得られる足底圧力値の特徴量を用いて実現した成果であり、本研究課題の目的の一つである「被介護者を対象とした知的行動計測システム」のうちの「介護施設内での生活行動検知システム」実現のための基盤技術となりえる点である。研究の成果（2）の重要性は、圧力センサから得られる個人識別が困難な簡易的数値データから、センサ上を通行する人物の状態をより高い精度で推測できるように改善した点である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
介護現場での人間行動の情報工学的な認識・理解（行動センシング）のための「知的行動計測・予測システム」を開発するために必要な基盤については、改善を重ねて順調に精度を向上させている一方で、開発未着手のものが残されている点による。
まず、次の2つの基盤は精度向上の改善を続けており、順調に整いつつある。1つめは「介護従事者を対象とした知的行動計測システム」である。この機能実現のための、ハイブリッドセンサを用いた基礎実験（ハイブリッドセンサから得られるデータをサポートベクタマシンにより分析することで、歩行状態を識別すること）を終え、より精度を向上させるための取り組みをしているところである。2つめは「被介護者を対象とした知的行動計測システム」のうちの「日常生活行動センシングシステム（通常行動センシング）」の「介護施設内での生活行動検知システム」である。本機能は、平成27年度で達成した研究成果である歩行者の属性推定手法での圧力センサから得られる足底圧力値の特徴量を利用して実現できるものであり、改善のための取り組みをほぼ終えている。
なお、平成27年度は上で述べたような改善の取り組みに従事したため、引き続き、次のような開発未着手の機能が残されている。具体的には、「日常生活行動センシングシステム（通常行動センシング）」のうちの「介護ベッド起床・昇降検知システム」、「個室出入口での入退室検知システム」などである。さらに、「介護従事者を対象とした知的行動計測システム」においては、RFIDタグを装着しての実験や、加速度センサを腕と腰にとりつけて、移動・作業中の前後、左右、上下の動きをとらえる実験についても未着手である。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、まず未着手の主な機能として挙げた「日常生活行動センシングシステム（通常行動センシング）」のうちの「介護ベッド起床・昇降検知システム」、「個室出入口での入退室検知システム」、さらに「介護従事者を対象とした知的行動計測システム」におけるRFIDタグを利用した介護従事者の行動計測などに関して、必要となる機器の早期選定および導入を済ませ、実験環境を整える予定である。
平成27年度までに精度向上を継続することで基盤づくりをほぼ終えた2つの機能については、次のような応用実験に着手する予定である。1つめの「介護従事者を対象とした知的行動計測システム」においては、介護従事者と想定した実験協力者の移動・作業中の前後、左右、上下の動きを的確にとらえるための、ハイブリッドセンサの適切な取り付け位置を探る実験を行う予定である。また、その場合の検出が困難な動作とその対処法も明らかにする予定である。2つめの「被介護者を対象とした知的行動計測システム」のうちの「日常生活行動センシングシステム（通常行動センシング）」の「介護施設内での生活行動検知システム」では、歩行者の属性推定手法で利用した圧力センサから得られる足底圧力値の特徴量を生かして、被介護者の属性を識別できるような手法を検討する。同時に、被介護者が立ち回ることが想定されるトイレや談話室・個室の出入り口での移動方向把握や行動認識のための実験を行う予定である。
さらに平成28年度後半は、それまでに達成した基盤を介護現場に移行するための検討を行う予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、平成26年度に引き続き、主に既存設備備品を使用した既存システムの機能と精度のレベルアップのための開発実験、およびそれらの成果のまとめ（国際会議発表や論文投稿）に従事したため、特に新たな設備備品を必要とせず、そのため物品費で大きな支出がなかったことによる。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、繰り越し分と合わせた新たな設備備品を購入する予定である。
|
