研究課題/領域番号 |
25330377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 星城大学 |
研究代表者 |
藤田 高史 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (10460627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生活支援 / 認知症 / 軽度認知障害 / 記憶 / IADL / Alzheimer / MCI |
研究概要 |
本研究は,軽度認知障害(Mild Cognitive impairment;MCI)者と軽度アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease;AD)者に対し,手段的日常生活活動(IADL)に対し,「絵入り説明文」と「ITを用いた声掛け」を用いた生活支援が可能か検討するものである. 研究は(1)から(3)の3つに分かれる.(1)「絵入り説明文」の効果検証実験:「私が検査は終わりです,と言ったらポットのコンセントを抜いてください」と記載した絵入り説明文を作成し,対象に口頭指示のみの場合を「課題1-1」,「絵入り説明文」を用いた場合を「課題1-2」として比較.(2)「声かけ指示動画」の効果検証実験:ネット会議システムを利用して,対象の眼前のTV画面に,「○時になったら,引き出しの薬袋を出して下さい」という内容の声掛け動画を転送し,画面を見た対象者が要求通りに行動できるかについて検証した.口頭指示のみの場合を「課題2-1」,動画を見せた場合を「課題2-2」として比較.(3)日常生活の記憶を最も反映するといわれているリバミード行動記憶検査(RBMT)の結果で課題1と2の結果が予測できるかについて検証. 平成25年度は,MCI者3名とAD者5名に対し実験を実施した.その結果,「課題1-1」と「1-2」の比較と,「課題2-1」と「2-2」の比較ともに,MCI者は1名,AD者は2名で「1-2」あるいは「課題2-1」の方に成績の向上がみられた.成績向上がみられた者は,「1-1」,「2-1」ができなかった者であった.RBMT得点と「1-2」得点あるいは「2-2」得点との間に,いずれもSpearman順位相関係数(r=0.83,p=0.03)で関連を認めた.したがって,「課題1‐2」と「課題2‐2」の結果は,RBMTで予測可能性があり,対象者数を増やしてさらに検討する価値を認めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集の進行度について説明する.25年度中にAD者7名前後,MCI者7名前後のデータを取り終える予定であったが,実際はAD者5名,MCI者3名という結果になった.対象者のデータ数が少なくなった理由は,研究協力施設の都合により11月に追加データ収集を予定していたが26年度6月に変更されたことによるもので,計画全体には大きな影響は無いと考えている. 8名の結果からは,仮説通り成績が向上する者とそうでない者に分かれる結果となっており,その法則性について,検討する必要が生じている.そのためには,さらに対象者を増やし検討する必要がある.またRBMTによる結果の予測性の検討については,その可能性があることが示された.平成26年度はさらに対象者を増やして研究を実施する予定であることから,研究方法自体の再検討は必要無いと考えている. 25年度に得られたデータを元に認知系あるいは老年精神系の学会で発表予定である. これらの状況から,本研究は概ね計画通りに進行しているものの,予定していた対象者数に達しなかったためやや遅れていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の実験結果に関しては,さらに対象者を増やして検討する価値のある内容と考えられた.そのため実験内容の変更は行わず,平成26年度は引き続き実験を実施していく.そのために平成25年度に実験を実施した研究協力施設に引き続き協力を打診していく予定である.平成26年度中にAD者を8~9名,MCI者は12名前後の人数を確保し,データ収集を終える予定でいる.データ収集の効率化を図るため,研究協力者と共同して使用予定のノートパソコンやTVモニター,動画作成ソフトを購入予定である.また,引き続き,関連文献収集を行う. 平成27年度は,分析と論文執筆,学会発表に充てる予定でいる.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は,平成25年度に予定していた実験対象者の数が予定数に達していなかったため,当初,二人同時進行で実験を行う予定であったが,一人ずつ実験を行ったため,パソコンやTVモニター,ウェブカメラなどの実験必要器具の購入を次年度に遅らせたためである. 本来,平成25年度に購入予定であったパソコンやTVモニター,ウェブカメラなどの実験必要器具を本年度に購入予定であるため,平成25年度分の次年度使用額の用途は決まっている.
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