研究課題/領域番号 |
25330379
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
河本 満 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (10300865)
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研究分担者 |
幸島 明男 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (20357130)
車谷 浩一 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 副部門長 (50356945)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サービス情報学 / サービス工学 / 音環境計測 / 音響センサ / 環境音変化予測 |
研究実績の概要 |
実証人権場所(二子玉川にあるショッピングセンター、二子玉川ライズ)から得られる環境音を用いて、その特徴量から一日に発生した環境音を分類し、その分類したクラスタ内の環境音で二子玉川ライズの音環境をモデル化する手法の提案に成功した。 分類では、Affinity Propagation(AP法)を改良した昨年度とは異なる改良型AP法を提案した。改良型AP法に関しては、分類過程で生じるクラスタ内の外れ値を検知し、その外れ値が新たなクラスタの中心点となるようにAP法の初期値を変更し、再度分類を行う、これを繰り返すことによって環境音の分類を行う手法となっている。つまり、改良型AP法は、従来の分類法の性質である、どこかのクラスタにデータが属さないといけないということからクラスタ内に外れ値が存在してしまうことがある欠点をできるだけ解消できるクラスタリング手法、すなわち、クラスタ内にできるだけ外れ値を残さないようにするクラスタリング手法である。この関連内容は、国際会議に投稿中である。 提案した分類法がクラスタ内にできるだけ外れ値を残さないという性質をもっていることから、クラスタ内の環境音で構築した環境音モデルの精度が従来のクラスタリング手法で構築したモデルよりも良いことを示すことに成功した。この結果は国内学会で発表した。また、この一連の音環境モデル構築技術を知財として特許出願した。 さらに、音環境モデルの応用例として、二子玉川ライズで行っているイベントの音による評価に利活用できるのではないかということも分かった。つまり、改良AP法を用いたクラスタリング結果として得られるクラスタの代表音を指標に用いて、それぞれの指標に類似した環境音を累積することによって、このイベントはこのような音で賑わっている、このような割合の音環境でイベントが行われたなどが把握できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に構築した一日における発生音のモデルの構築法を改良して、オリジナルの手法を使って音環境モデルの構築ができることを示し、さらに、構築した音環境モデルの利活用法も分かってきており、平成27年度の主な目標である環境変化検知・予測が音環境モデルで可能ではないかということが把握できたので、おおむね順調に研究は進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に構築した音環境モデルを利用して、現在発生している環境音を推定し、オンライン処理で現在の音環境変化が把握できる可視化システムを構築する。また、環境音計測を継続し、音環境パターンのデータベース化を進める。これにより、どのようなことが予測できるのか検討し、最終的に音による環境変化検知・予測システムを構築する。また、イベントの音による客観的評価法もイベント主催者の主観的評価を基に、どのような指標をつくれば、評価できるのかを検討し、確立することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際会議の参加が論文不採録により、不参加となり、その分の旅費を国内学会参加にまわしたが使いきることができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在投稿中の国際会議に採録されれば、その参加費用に充てる予定。
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