研究課題/領域番号 |
25330382
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松村 敦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (40334073)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (50261813)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 絵本推薦システム / 子どもの好み / 子どもの質問 / ソーシャル推薦 / 自動推薦 / 絵本の主題 / 絵本データベース / 表情認識 |
研究実績の概要 |
本研究は,子どもの好みを多面的に取得・利用し絵本を推薦するためのシステムを構築することを目的としている. 本年度は,子どもの質問を利用したソーシャル絵本推薦システムに自動推薦機能を追加することを試みた.自動推薦は,子どもの質問を形態素解析し,名詞を中心にキーワードを構成し,まずは絵本リストの主題を検索する.一致するものがあった場合には,絵本リスト内の絵本を推薦し,一致しなかった場合にはAmazonを検索して結果得られた絵本を推薦する.実際に16組の親子を対象に,自動推薦ありの8組(実験群)と自動推薦なしの8組(統制群)に分けて2週間システムを利用してもらい,自動推薦の効果を比較検証した.その結果,絵本の推薦冊数の向上は達成でき,子どもの興味に対する親の関心を向上させることにも成功した.一方で,絵本の推薦行動が少なく,全体的に子どもの満足度も低めであった.この原因は,アンケートの結果などから,自動推薦の精度の低さが原因と思われる.自動推薦の正解率は,0.15と手動推薦の0.65に比べて大きく下回る.この精度を高めることが課題として残った.そこで,既存の複数の絵本リストの主題の比較分析を行い,その構造の違いや用語の違いについて明らかにした.28年度はその結果をもとに,複数のリストの統合を行い,自動推薦の基盤となる信頼でき絵本データベースを構築することを目指す.また,前年度課題であった絵本の読み聞かせ時の動画撮影機能をiPadを用いて設計・実装した.本機能への表情分析機能の追加と評価は28年度に実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画が遅れている理由は,子どもの質問を利用したソーシャル絵本推薦システムの設計と実装に時間がかかったことである.旧システムの構成が古い環境であり,実装の再現と自動システムとの連動が難しく,また,セキュリティ上の細かな修正が多く生じたためである.その結果,自動取得可能な電子書籍絵本の実装の検討が年度末までずれ込んでしまい,実装は,読み聞かせ動画の自動録画機能まで済んだものの,表情抽出等の実装と評価検証は間に合わなかった.
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今後の研究の推進方策 |
28年度は,絵本推薦システムの実現までが目標である. まずは,ソーシャル絵本推薦システムの自動推薦機能の改良と子どもの反応の自動取得可能な電子書籍絵本の実装を進める.改良のために,子どもの質問に着目した絵本の主題データベースの構築が一つの方向性である.このシステムは,適宜稼働させて,子どもの好みの調査,質問に対応するシステムとして,情報の収集を行う.次に,電子書籍絵本の実装では,問題となっている子どもの反応を取得するソフトウェアを選定することが最初の課題である.現在,表情分析として検討しているのは,Azure Media Serviceの表情分析機能である.これらと並行に,最終的な絵本推薦システムの設計を行い,絵本推薦システムを実装し,評価実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,最終的な絵本推薦システムの実装と評価実験にかかる謝金等が余ったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
絵本推薦システム実装のための主題分析と評価実験のための謝金として使用予定である.
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