研究課題/領域番号 |
25330389
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
原田 隆史 同志社大学, 社会学部, 准教授 (30218648)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), 准教授 (50261813)
佐藤 翔 同志社大学, 社会学部, 助教 (90707168)
岡部 晋典 同志社大学, 学習支援・教育開発センター, 助教 (60584555)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 図書館情報システム / 図書館OPAC |
研究概要 |
本年度は以下の成果を得た。 (1) 大学図書館と公共図書館で期待される図書OPACの違い 大学生を対象としたアンケート調査を行い,大学図書館・公共図書館ともに「表紙・本文のイメージ画像の表示」「関連キーワード表示」「感想・レビューの表示」「関連書籍の紹介」などが期待されるOPACの機能としてあげられた。また,利用者の需要に合った資料をより多く見つけるための機能と,実物を手に取らずにある程度資料の内容や雰囲気がわかるような機能が求められていること,その中でも大学図書館では前者が,公共図書館では後者が特に求められていることを明らかにできた。 (2) 図書館OPAC出力結果ランキングの最適化 図書館OPACの出力結果として複数のパターンを作成し,それらのパターンのうちどれが望ましいかを大学図書館の利用者に選んでもらった。その結果,「出版年」「ページ順」「OPAC記載の情報量」などが高い評価を得ていることが明らかになった。一方,主題を示す「NDC(日本十進分類表)」の統一感などはほとんど重視されなかった。ただし,検索語によって評価基準として重視される項目はまちまちで,今後さらなる調査が必要と考えられる。 (3) 書架上の図書の配架方式の最適化 NDC番号とは異なる配架方法で並べられた書架を用意し,被験者に書架をブラウジングしてもらいながらNDC順に並んだ従来の書架との違いなどをアンケートで答えてもらった。その結果,本の厚さや大きさ,表紙の色などは利用者の目を惹く要素ではあるが,書架上でこのような配置となっていることを好む利用者は少なく,内容を重視する傾向が強いことが明らかとなった。一方で,現在のNDC順の配架についても不満は高く,関連する図書を近接させるような配列となるように工夫する必要があることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3年間で従来の図書館OPACとは異なる形で利用者に検索結果を提示するシステムの構築を目的とし、初年度である平成25年度は実システムを構築する前に、利用者のニーズや探索行動に関する基礎的な実験・分析を通じてシステム構築の参考とすべき情報を得ることを計画していた。 そこで(1) 大学図書館と公共図書館で期待される図書OPACの違い、(2) 図書館OPAC出力結果ランキングの最適化、(3) 書架上の図書の配架方式の最適化に関する調査・実験を行い、それぞれから「研究実績の概要」でも述べたとおりの成果を得た。これらの成果は平成26年度以降に行なうシステム開発に活かせるものであり、おおむね当初計画どおりに研究は進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は平成25年度の研究成果から得られた知見を活用し、実際に新たな図書館システムを開発し、その有効性を実験により検証していくことが主な研究内容となる。 システム開発については当初計画通りに進めていくが、新たな要素として”「研究実績の概要」(3) 書架上の図書の配架方式の最適化”でも述べた、書架上の資料の配置自体についても検討することを盛り込んでいく必要があると考えている。当初は検索結果の提示方法をシステム上で変更するだけでも十分な効果があるものと見込んでいたが、平成25年度の上記研究実績からは、システムを新たにするだけではなく、その結果を閲覧した後に実際に訪れる書架上での資料配置も従来とは異なるものにすることで、全体として利用者の情報探索行動における満足度を高めることができるのではないかと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に実施を計画していた実験のうちの一部について、年度末に行なうよりも翌年度4月に実施した方が被験者を多く集められると判断したため、次年度使用額として繰り越した。 次年度4月中に当初予定していた実験を実施し、使用する予定である。
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