研究課題/領域番号 |
25330394
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
海後 宗男 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60281317)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ソーシャル・メディア / SNS / Facebook / 市民活動 / 市民活動団体 |
研究実績の概要 |
平成28年度の計画では、海外専門家(エキスパート)との会議で出た意見を最終評価に組み込むことによりグローバルな妥当性・普遍性を研究に取り入れることを目的としている。研究の成果として、電子コミュニティー維持のために必要な人数や日本の情報環境と日本の地方自治体レベルでのソーシャル・メディア活用に関する妥当な方法が明らかになってきた。平成28年度はもう一つ重要な課題としてキー・ケースである茨城県つくば市が運営する「つくば市民活動のひろは」のコンテンツ維持人員の必要性の検証も行い、継続的におく必要性もわかった。キーケースであるFacebook ページ「つくば市民活動のひろは」を事例として、SNS を用いて情報発信等を行う自治体の職員はどのような事柄を運営上の「困難や難しさ」として認識しているのかを包括的に把握するため、3名の自治体職員を対象に探索的なインタビュー調査も行った。インタビュー調査の結果、1・担当部署の理解、2・予算の確保・人員体制の確立、3・職員の IT スキル、4・他の業務との兼ね合い、5・人事異動、6・決裁手続き の厳密さ、7・趣旨に合わない投稿への対応、8・個人情報への配慮、9・事業が当初の目的を達成しているかどうかという9つの要因が整理された。また、9つの要因を分類した結果、運営に関わる資源の量と質、行政活動に伴う形式主義、プライバシーへの配慮という3つに類型化された。今後は得られた知見を普遍化が可能な形で検証することが必要とされるがそのための課題が整理された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画に従って、ほぼ計画通りに研究をすすめている。エキスパート(海外専門家)との会議・評価を前倒しして行ったことにより、今後本テーマと関連性のある国際共同研究に発展する可能性も出てきている。過去3年間と同様、SNSの活動を維持することの難しさは変わらないが、コンテンツ維持人員を通して、新しい形でのコミュニティーの交流が生まれている。2016年の電子民主主義会議や国際コミュニケーション学会で専門家と会議を行い、問題や課題の整理が進んでいる上、研究の進行は順調であり、進め方も適切であるという評価を米国とヨーロッパの研究者から継続的に得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度であり、ここまでの成果をまとめる作業と専門家の評価を得るため、2017年5月に実施される国際コミュニケーション学会(サンディエゴ大会)にて集う海外専門家との会合を実施することが決まっている。また、翌月2017年6月には、筑波大学にてワークショップを実施し、海外専門家との意見交換も行う。今後、ヨーロッパからの知見を得るため、筑波大学と提携している他の研究者からも知見を得ることが決まり、2017年11月、筑波大学にてシンポジウムを実施する際に意見交換を行う。次年度中に最終報告となる出版物も準備する。
|