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2014 年度 実施状況報告書

ディープスマートの獲得と継承の情報環境設計

研究課題

研究課題/領域番号 25330398
研究機関横浜国立大学

研究代表者

竹田 陽子  横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (80319011)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワードディープスマート / イノベーション創出 / デザイン思考 / デジタルストーリーテリング / 伝承 / 技術者 / 学習ネットワーク / 省察
研究実績の概要

本研究は、仕事の場において職業人がシステム全体の複雑な相関関係を把握して適切な判断を迅速に下す能力であるディープスマートの獲得・継承のメカニズムを解明し、ディープスマートの獲得、継承を支援する情報環境の設計指針を作成することを目的とし、本年度は第1に、前年度から引き続き、企業の上級管理職、経営者、高度専門職に対してイン・デプス・インタビューを実施した。現在までに22事例が継続しておこなわれている。
第2に、ディープスマートの獲得のプロセスを直接観察し、また、獲得プロセスにおける省察や外的な表出、人工物、情報環境の役割を見るために、前年度から実施しているデジタルストーリーテリングによる事業企画のワークショップを大学内と企業で引き続き実施し、映像による記録、参加者とインストラクターのインタビュー、調査票調査を実施した。参加者とデジタルストーリーテリング作品を一般視聴者(N=74)に見せ、クリッカーによる作品の各場面ごとのポジティブ/ネガティブの反応と調査票調査も実施した。企業でのワークショップでは、デジタルストーリーテリングだけでなく、写真を収集してその本質的な価値を討議して新しい事業アイディアを出すデザイン思考のワークショップの手法も取り入れ、さまざまな情報環境、人工物、外的表出の手法がディープスマートの獲得とグループ内の伝達に与える影響について検証する試みも開始した。
第3に、前年度に実施した伝統芸能業界における学習関与者のネットワークとディープスマートの獲得プロセスの関係についての調査票調査のデータを分析して学会で発表した。また、この調査で得られた知見を元に、製造業の技術者を対象に、技術者が持つ学習ネットワークとディープスマート獲得における言語/非言語による外的/内的な表出と省察、人工物の使用がどのような関係にあるかについて調査票調査を実施した(N=400 )。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第1に、ディープスマートの獲得、継承に関する上級管理職、経営者、高度専門職に対するインタビューは、前年から継続して22事例が進行しており、順調に進行している。
第2に、ディープスマートの獲得プロセスを直接観察するため前年度から開始したデジタルストーリーテリングによる事業企画のワークショップは引き続き実施してデータ数を増やしただけでなく、デジタルストーリーテリングよりもさらに多様な情報環境設計を検証するために、デザイン思考のワークショップの手法も取り入れた企業内ワークショップを開始し、データを蓄積し始めている。
第3に、前年度に実施した伝統芸能伝承におけるディープスマート獲得と学習ネットワークの関係に関する調査票調査から、伝統芸能伝承において、学習者の学習ネットワークの多様性が高いほど、ディープスマート獲得にプロセスにおいて学習者の言語、非言語の外的表出、内的表出が頻繁におこなわれ、人工物が多様に利用されることがわかり、その研究成果をまとめて組織学会において学会発表した。
伝統芸能伝承に関する研究で得られた知見に基づき、製造業の技術者を対象に、学習ネットワークとディープスマート獲得プロセスの関係に関する調査票調査を実施し、400票を回収した。分析はこれからであるが、伝統芸能で見られた学習ネットワークとディープスマート獲得プロセスの関係が、企業の技術者においても成り立つかが注目されるところである。

今後の研究の推進方策

第1に、ディープスマートの獲得、継承に関する上級管理職、経営者、高度専門職に対するインタビュー調査は継続して実施する。
第2に、ディープスマートの獲得プロセスをみるためのデジタルストーリーテリングおよびデザイン思考のワークショップは、企業内、大学内でさらに、使用する人工物、外的表出のスタイル、情報環境が異なる状況で実施し、データの蓄積をはかり、学会発表や論文発表をおこなっていく。まずは、デジタルストーリーテリングによる事業企画ワークショップのデータに絞って学会発表する予定である。
第3に、伝統芸能伝承におけるディープスマート獲得と学習ネットワークの関係に関する研究の成果を学術論文として学会誌に発表する。また、製造業の技術者に関する同じテーマの調査結果を分析し、学会発表と論文発表をおこなっていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 感性と社会的行動のモデル化に向けて -脳科学、工学、社会科学の対話-2014

    • 著者名/発表者名
      長尾智晴・森下信・岡嶋克典・竹田陽子
    • 雑誌名

      組織科学

      巻: 47 ページ: 35-47

  • [学会発表] 学習関与者との関係性が学習者の省察プロセスに与える影響 -韓国伝統芸能伝承をフィールドとして-2014

    • 著者名/発表者名
      竹田陽子
    • 学会等名
      組織学会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-06-21

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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