本研究は、九州地域の離島並びに中山間地域を研究調査フィールドとして、地域情報化によるまちづくりのあり方について政策的かつ実証的観点から総合的に探求し、住民参加を促す地域情報化モデルの構築を目的としている。 本研究の最終年度にあたる平成27年度は、主として、これまでの調査研究フィールドの内、研究成果を着実にあげてきた離島地域の壱岐市、並びに中山間地域である湯前町に焦点を絞り、具体的な地域住民との活動を展開しながら住民参加型による地域情報化推進の可能性を探ってきた。壱岐市に置いては、エリアを柳田地区に絞り、柳田地区まちづくり協議会と連携しながら情報発信塾を定期的に開催し、住民間のコミュニティ醸成と住民による地域情報発信のあり方の習得支援を展開しながら地区の情報化推進の基盤づくりを行ってきた。一方、中山間地域である湯前町においても地域住民のコミュニティ醸成と情報発信力の育成を目的として、定期的な情報発信能力向上講座の開催の他、Skypeを用いた地域課題に対するオンライン講座の開催、オープンストリートマップを用いた地域マップの作成など年間を通じた様々な活動を展開してきた。 以上の研究活動の結果、地域情報化の推進に向けた行政の意識改革はもちろんのこと、地域住民の情報化に対する理解と意義を十分浸透させることができ、今後の住民参加による地域情報化の推進に一定の方向性を見出すことができた。また、住民参加を促す地域情報化推進モデルを構築していくにあたっては、①コミュニティを醸成しやすい小規模エリアにおける活動の重要性、②よそ者と言われる外部者の活用による「気づき」の重要性、③生活に密着した地域課題解決への取り組み、④地域リーダーの養成を意識した取り組みの重要性などを改めて確認することができた。
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