研究課題
今後,実際に公立小学校などで利用可能となるように機種依存から脱却し,Python+Pyglet+OpenCVなどの機種独立環境で「よもーヨ」を再構成した.また,25年度実利用実験から要望の大きかった振り仮名機能を追加した.これにより,Windows環境,iOS環境,linax環境,Andoriod環境など現在広く利用されているすべての計算機環境において動作可能な状態で「よもーヨ」が実現された.大人数利用実験結果を詳細に解析し,集団の特性,特に教師の評価と「よもーヨ」で把握可能な読書行動間にどのような関係があるかについて解析し,教師の読書能力評価と「よもーヨ」で得られる読書行動間の関係を明らかにした.結果として,読み速度と教師の読み能力評価は逆相関にあり,教師評価の良い生徒は,ゆっくりと文章を読む.また,読み速度の変動を見ると低学年(2,3年)では顕著な特徴は見られないが,高学年(4,5年)では,教師評価の高い生徒は安定して読んでいる.各種の教育方式実践が行われているオランダにおいて,調査を実施し,ICT機器が「その機能が大きくなくとも普段の授業の中で様々な形で利用されている.」ことにより,いつでも手軽に簡単に利用されている実態を確認した.これにより,「よもーヨ」の改善方針の中で,いつでもどこでもだれでもうまく使える方向の重要性を確認した.「よもーヨ」使用記録,音声記録および映像記録を解析し,「よもーヨ」利用者の読書行動を把握するための基礎機能を実現した.実現した機能は,利用者が実際にいつ発声しているのかを認識する.この機能により,より詳細に読書行動把握が可能となり,「よもーヨ」利用者への自動的な援助を行うための基礎となる利用者の状況把握が実現可能となる.
2: おおむね順調に進展している
iPadなどの特定の機器への「よもーヨ」の移植は,行わなかったが,「よもーヨ」をPython+Pyglet+OpenCVなどの機種独立環境で再構成したことにより,現在利用されそうな各種計算機環境のすべてに基本的に対応可能となった.「よもーヨ」の利用者の行動把握が可能となり,利用者の状態を推定する基礎を実現することができた.通常学級では,生徒を個人指導することは基本的に不可能であり,ICT機器を導入する場合においても如何に全生徒がうまく使いこなせていくかが学級運営上の大問題となる.利用者の状態を推定することが可能となれば,ICT機器自体で利用者に対する適切な援助方法を選択して,利用者に対する援助を実現できる範囲が大きく拡大する.これにより教師はICT機器自体で援助不能なごく少数(我々の見積もりでは3名程度)の面倒を個別に見ることが可能となり,学級全体の運営上ICT機器を利用することが容易になる.この方針に基づく,教育現場におけるICT機器導入方策が明確になったことが最も重要な事項である.この方策は,各種発表の前書き部分に述べるに留まっているが,研究全体の中の基本方針として最も重要である.
「よもーヨ」において利用者の状態を推定・認識するための基礎となる機能の実現は完了したので,実利用環境において多数利用実験を実施し,利用者の読書行動と利用者状態の関係を明らかとして,利用者状態の推定・認識を実現することを主目的とする.前記目的が達成されれば,「よもーヨ」の各種状態を制御することは極めて容易であり,利用者への「よもーヨ」自体での援助が実現できる.これにより,通常学級で個別全員が同時利用するICT機器の一つのあるべき姿を実現して学会発表などを通じて世に問う.また,必然的に実現される利用者状態推定・認識方式についても今後の教育現場で利用されるICT機器開発の一つの指針となるので各種発表などを通じで世に公知する.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
13th Hawaiia International Conference On Education, Proceeding
巻: 1 ページ: 394-399
6th INTERNATIONAL CONFERENCE ON COMPUTER SUPPORTED EDUCATION, Proceedings, vol. 2, pp.139-146, April, (2014/04).
巻: 2 ページ: 139-146