研究課題
電子教科書を学習者が編集して個人のノートブックに書き換える教育・学習の仕組みである「学材システム」(以下,学材)の試作が完了し,これを用いた実践授業を行った。昨年度から比べて学材システムの操作性と安定性の改善を行い,教室での授業の後に行う自己学習支援機能の拡充を行った。学材は,電子機器に依存しないWebアプリケーションソフトウェアである。一室40人の学生を20人ずつのグループに分けて授業を行った。グループAは従来と同じように印刷物の教科書と手書きノートを使って受講し(従来型授業),ブループBは学材を使って受講した。約40分間の講義の後に,約10分間講義内容の理解度を確認する小テストを行った。小テストの平均点は,従来型授業グループAが高くなった。t検定の結果学材使用グループの平均点と有意な差はなかった。授業実践は昨年度に引き続き二度目であるが,従来型授業グループの方が平均点が高かった点,t検定で学材使用グループの平均点と有意な差がなかった点は,両年度に共通となった。学材のシステム操作に慣れていないのにもかかわらず従来型授業と同等な受講成果が得られたことから,学材が授業利用できること,授業進行の邪魔をしないことがうかがえる。授業後に行ったアンケート調査の結果,学材の狙いや機能に対する期待が高いこと,操作性にさらなる改善を求めていることが明らかとなった。個別の意見として大画面化や自分の使い慣れたPC等での利用希望などがあった。また教員の側からは,学材を使った授業の利便性として,授業資料作成時間が大幅に短縮できたことが報告された。総括として,(1) 授業で利用できる教育学習システムができた。(2) 授業準備の教員負担が軽減できた。(3) 操作性の改善を行ったが,さらなる改善要望があった。これらの研究実績は,国内外の学会にて報告した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
電子情報通信学会技術研究報告(ET)
巻: 115 ページ: 181-186
Proceedings of The 2015 International Conference on Frontiers in Education: Computer Science & Computer Engineering (FECS 2015)
巻: FECS 2016 ページ: 274-278