筋電位と身体皮膚形状の変化との関係性を見出すために、これまで、モーションキャプチャ装置や多チャンネル方式の筋電センサについての研究を行ってきた。モーションキャプチャ装置を用いて、直径6mmの小型のマーカーを多量に用いることによって、身体の皮膚形状変化と、全体の身体運動について、その形状データを計測していたが、研究の過程で、より簡易で瞬間の形状変化を計測する手法が確立したため、被写体を複数のカメラで取り囲むように撮影し、立体形状を計測する手法へと移行した。 多チャンネル式の筋電センサについては、コスト面を考慮しつつ回路設計などに注力してきたが、技術の進歩により、多チャンネル方式でバッテリー性能や通信性能の整った環境が急速に利用できるようになったため、ハードウェアの改良よりソフトウェア面での開発を行うこととした。 48チャンネルの同時計測が可能になったことにより、48の筋電位情報とそれに連動して動く筋肉構造を持った身体皮膚表面形状との関係性に焦点を絞り、どのような信号の組み合わせの時に、どのように皮膚形状が変化するかという点について研究を行った。多数の信号パターンの解析については、近年研究が進んでいる機械学習分野の手法を考慮しつつ、運動・筋電・形状の3つの関係性について分析を行い、映像表現に反映させた。その結果、筋電情報を付加した身体モデルでは、形状変化がわずかに起きるのみであるが、その形状変化による、リアリティのある表現へつながることが確認できた。
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