研究課題/領域番号 |
25340001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村尾 直人 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00190869)
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研究分担者 |
山形 定 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80220242)
深澤 達矢 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80292051)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対流圏オゾン / センサー技術 |
研究実績の概要 |
本研究は、ナノテクノロジーの成果を活用した小型センサの開発・実用化を行い、オゾン濃度の把握が乏しい地域での長期測定、また都市域での精密測定を行うものである。 二年目にあたる平成26年度には、環境大気測定用の半導体型オゾンセンサの開発・実用化に向け、1) センサ較正法とモニタリングデータ送信システムの確立、2)遠隔地でのリモート環境測定そして3)森林での環境測定を行った。以下にそれぞれについて、その概要をまとめる。 1.センサ較正法とモニタリングデータ送信システムの確立:これまでの測定結果を用いて、年間を通したセンサー(気温)較正法を確立し、紫外線吸収法で測定したオゾン濃度との相関係数は0.94となった。モニタリングデータ送信システムについては、天塩演習林や手稲山において、すでに6カ月以上のデータ取得が継続されており、自動化とともに無人化に成功した。 2.遠隔地でのリモート環境測定:天塩演習林や手稲山の測定が継続している。都市汚染の少ないこれらの観測では、粒子センサーを用いた微粒子計測を同時に行っており、高濃度汚染時に微粒子を伴う場合とそうでない場合があることがわかった。 3.森林での環境測定:北海道黒松内ブナセンターにセンサを設置し、試験的な測定を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に行うことを予定した、1) センサ較正法とモニタリングデータ送信システムの確立、遠隔地でのリモート環境測定そして3)森林での環境測定について、以下にその達成状況をまとめる。 1) センサ較正法とモニタリングデータ送信システムの確立:前年度に得たほぼ1年間にわたる気象要素および他の汚染物質成分測定結果を用いて、最も影響の大きい気温補正法を検討し、標準測定法である紫外線吸収法で測定したオゾン濃度と高い相関係数(0.94)を得、センサーによるオゾン測定が有効であることを示した。また、モニタリングデータ送信システムについても、天塩演習林や手稲山において、自動化とともに無人化に成功した。 2) 遠隔地での環境測定への試験的適用:札幌市手稲山山頂および北海道大学天塩演習林に設置したセンサー計測により、高濃度時に大陸からの汚染気塊の輸送や上空からの輸送を示唆する有用なデータが取得されつつある。 3)森林での環境測定:北海道黒松内ブナセンターにセンサを設置し、試験的な測定を開始し、順調にデータが得られている。 なお、前年度に環境化学会誌に公表した「大気中のオゾン測定センサ・ネットワークの開発」については、第24回環境化学技術賞の受賞が決定した旨、連絡を受けている。 以上のことから、本年度の達成度は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、これまでに確立した較正法およびデータ送信システムを検討を行ったセンサを用いて、光化学スモッグを対象として、東京都の多摩丘陵で測定を行う。これには二つの意味合いがある。。 1) 都市域オゾンの分布:光化学オキシダントについては、大気汚染測定局による測定がなされてきたが、測定局の密度は低く、どのような分布をしているのかが明確でない。高。化学スモッグ時に、オキシダント汚染の広がりや影響範囲を知るためには、密度の高い測定が不可欠になる。本研究では、多摩丘陵周辺にセンサーを配置し、都市域の濃度変動把握に対するセンサの有用性を確認する。 2) オゾンの影響が懸念される森林域での測定:オゾンの植物影響については、近年多くの研究がなされているが、測定装置の問題から曝露濃度の把握が十分ではない。本研究では、多摩丘陵に設置これたタワーにセンサを設置し、現地における植物の暴露濃度の把握を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入に若干の未使用分が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度の消耗品費にあてる予定である。
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