研究課題/領域番号 |
25340002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教室系技術職員 (10516298)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境アレルゲン / Der f1 / エアロゾル / サンプリング |
研究概要 |
気管支喘息やアレルギー性鼻炎を代表とするアレルギー性疾患は増加傾向にあり、社会的な問題となっている。住環境中のアレルゲンはハウスダストと共に堆積して存在するのみならず、空間中に浮遊・拡散して存在しており、その環境濃度分布を簡便に評価するためには、気相成分の捕集技術と、高感度なアレルゲン検出技術を同時に実現することが求められる。そこで今年度は、居住空間に浮遊しているアレルゲンの新規捕集技術の開発に注力した。本研究課題は、生活環境中のアレルゲンの簡便なリアルタイム計測技術の開発を目指しているが、従来の浮遊成分捕集方法は、強力な吸引力を要し装置が大型であるため、センシングデバイスの感応部に組み込み、浮遊成分のリアルタイム計測をすることは困難であった。そこで、撥水性の多孔質膜を隔膜とした気液二相セルにより、センシング時のノイズの原因となる液相でのバブリングを回避しながら、浮遊成分を液相に取り込む構造を構築することとした。気液二相セルには、市販の透析セルを適用し、隔膜には、フッ素樹脂製のネットを採用した。さらに、隔膜の気相セル側に含水させたセルロース膜と膜のたわみを防止するためのフッ素樹脂製のネットを重ね、シリコーンo-リングとともに挟み込むこととした。気相セル側に、ダニアレルゲンDer f1を含有するハウスダストを封入し、液相へのアレルゲン取り込み実験を行った。液相溶液中のDer f1量を免疫学的測定法(ELISA法)にて評価したところ、有意な出力が確認され、構築した構造体によるアレルゲンの液相への取り込みが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気相成分捕集デバイスの基本構造体を構築し、最適化を行うことで気相から液相へのアレルゲンの取り込みが実現されたことから、平成25年度計画の目標である気相成分捕集デバイスの確立が概ね達成されたため。
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今後の研究の推進方策 |
浮遊アレルゲンの発生から溶液への捕集までを行う実験系を構築し、気相成分捕集デバイスのアレルゲン取り込み効率の評価を行う。 さらに、環境アレルゲンの動態評価に向け、磁性制御系を導入した連続的な免疫計測技術の開発を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度目標を概ね達成したが、気相成分捕集デバイスの構築に注力したため、アレルゲンの浮遊状態の再現実験系の構築や、浮遊アレルゲンを含む空気のデバイスへの移送技術に関する最適化について、時間的に十分な実験が出来なかった。次年度使用額が生じたのは、それらの実験に使用するための費用が残ったためである。 年度の早い段階で平成25年度に実験を行う予定であった、アレルゲンの浮遊状態の再現実験系の構築や、浮遊アレルゲンを含む空気のデバイスへの移送技術に関する最適化を行う。これらの実験に要する試薬や物品等の購入において、今回生じた次年度使用額を利用する予定である。
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