研究課題/領域番号 |
25340010
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江口 菜穂 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (50378907)
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研究分担者 |
高島 久洋 福岡大学, 理学部, 講師 (20469620)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 成層圏対流圏間力学結合 / 熱帯対流圏界面遷移層 / 成層圏突然昇温 / 積雲対流 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した解析をさらに発展させ、得られた結果を投稿論文としてまとめた。 2010年1月末に発生した成層圏突然昇温 (Sudden Stratospheric Warming; SSW) 時の熱帯の上部対流圏・下部成層圏の大気微量成分 (水蒸気量、オゾン(O3)、一酸化炭素 (CO) 等) と積雲対流の関係に着目した解析を行った。結果、SSW による熱帯下部成層圏の上昇流の強化によって、熱帯圏界面近傍が不安定となり、積雲対流(特にアフリカ大陸南部と西部太平洋上)が活発となったことで、対流圏起源の空気 (高濃度 CO、低濃度 O3) が下部対流圏から下部成層圏に短期間で直接的に輸送されたことがわかった。さらに、下部成層圏に流入した高濃度 CO の空気塊が成層圏内を徐々に鉛直に輸送されていることがわかった。一方、成層圏起源の O3 濃度は、上昇流の強化によって、上部対流圏から中部成層圏領域まで SSW の期間、減少していたことがわかった。このように SSW による熱帯下部成層圏の上昇流強化の直接的、間接的な影響によって、全球規模で短期間の内に大気微量成分の分布および濃度が変化していることが示された。本研究の結果をまとめて、学会で発表し、投稿論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通りに、一昨年度入手、整理した数値実験データ、客観解析データ等を用いて、解析を実施し、得られた結果を学会で発表し、それらの結果を投稿論文としてまとめた。但し、昨年度中に育児休業を取得したので、前述の投稿論文で得られた成果の発展研究を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度、昨年度中に長期間のデータを収集したので、これまでの解析結果の進展として、他の類似した事例、および背景場が異なる事例の解析を実施する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度中に育児休業を取得したため、予定していた出張、打合せを行わなかった。また投稿論文の仕上がりが遅れたため、投稿費用として使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
論文投稿料として使用する。また解析データおよび結果の保管用のハードディスクの購入を予定している。さらに、投稿論文の研究内容の発展研究として、国内外の研究者との打合せを実施するための旅費として使用する。
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