研究課題/領域番号 |
25340017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
三浦 和彦 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00138968)
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研究分担者 |
小林 拓 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20313786)
永野 勝裕 東京理科大学, 理工学部, 講師 (40408703)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エアロゾル / 小イオン / ラドン / 宇宙線 / 粒子生成 / 富士山 |
研究概要 |
富士山は孤立峰のため自由対流圏に位置することが多く、下層大気の影響を受けにくい。また、高高度にあるため宇宙線による電離量が多くイオン誘発核生成が起こる可能性が高い。この富士山の山体を利用してエアロゾルの気候への影響を調べた。25年度の主な成果は以下の通りである。 1. 7月19日~8月22日に富士山頂にて宇宙線強度、ラドン濃度、SO2濃度、CO濃度、O3濃度、小イオン濃度、エアロゾルの粒径分布、雲凝結核濃度を同時に測定した。8月20日21時~21日3時にかけ高濃度のSO2が観測された。流跡線解析、CFORSのシミュレーション結果などから桜島の噴煙が届いたものと判断した。正負の小イオン濃度を比較すると負イオンのみが増加していた。これは正に帯電した大きい火山灰が輸送中に沈降し、相対的に負イオン濃度が高くなったためと思われる。 2. 8月7日~10日に太郎坊での係留気球、ゾンデ観測と同時に、富士宮口・御殿場口間の徒歩観測を行った。雲の上下で同時に粒径分布を測定し、捕集した個別粒子を水透析した結果、雲過程による粒子の変質についての知見を得た。 3. 山頂と山麓で同時にラドン・トロン濃度を測定し、半減期の違いから大陸起源か近傍起源か気塊の由来を推定し、谷風の影響を調べた。 4. 直径20nm以下の粒子が3時間以上高濃度となるイベントは、2013年も36観測日中、昼7回、夜10回観測された。しかし、イオン誘発核生成と考えられる現象は観測されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 山頂にてラドン濃度、SO2濃度、CO濃度、O3濃度、小イオン濃度、エアロゾルの粒径分布、雲凝結核濃度を同時に測定したが、宇宙線強度は測器のトラブルのため、測定できなかった。 2. 申請額より採択額が少なかったので、山麓でのゾンデ観測は断念したが、係留気球観測、徒歩登下山により山腹にかかる雲の内外で同時にエアロゾルの粒径分布の測定、採取、電顕分析を行うことができた。 3. 山頂と山麓で同時にラドン、小イオン、粒径分布を測定し、下層からの輸送の影響を調べた。小イオン計のゼロ点のドリフトに問題があったので、改善した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 7,8月に富士山山頂観測を予定している。今年度は宇宙線強度のトラブルがないよう、事前に気をつけ、山頂での観測を行い、他要素との関連について議論する。 2. 8月後半に太郎坊集中観測を予定している。昨年度同様、係留気球観測、徒歩登下山観測を行い、データの補強を行う。 3. 小イオン計のゼロ点のドリフトの問題は解決したので、山頂と山麓で同時にラドン、小イオン、粒径分布を測定し、相互関係について議論する。
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次年度の研究費の使用計画 |
12月~2月にかけてイオンカウンターを使用したので、予定していた保守を次年度に送ったため。 イオンカウンターの保守費用
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