研究課題
近年,日本においても地上のPM2.5計測網が充実してきたが,環境省がとりまとめる「そらまめくん」の計測拠点が大部分であり,気象庁のアメダスと比べ偏在しているのが実情である.人工衛星による大気計測の利点は,単一計測器で広域の計測を行うことができることある.衛星計測から得られる大気環境情報としては雲,エアロゾル,水蒸気量,CO2分布など多岐にわたるが,本研究ではエアロゾルとPM2.5の関係性に着目し,エアロゾル情報からのPM2.5濃度推定を行った.大凡の手順は次の通りである.①地上からのエアロゾル情報取得とPM2.5濃度の関係性調査.②衛星からのエアロゾル情報抽出.③得られるエアロアゾル情報の精度検証.④エアロゾル面情報を用いたPM2.5濃度推定.以上の手続きにてPM2.5濃度分布推定を行った.得られるPM2.5濃度と一部の地上計測値との比較を行った結果,約±6 μg/m3の精度で推定を行うことができた.なお,本手法に関する発表として,EGU 2015においてエアロゾルとPM2.5の関係性,IGARSS 2015におてPM2.5リモートセンシングを発表している.また,将来発刊予定の書物「Atmospheric aerosol: life cycle and effects on air quality and climate」,編集者(C. Tomasi, S. Fuzzi, A. Kokhanovsky)において第9章 「Aerosol and air quality」の一部にPM2.5推定を記載している.衛星からのPM2.5濃度推定手法は日本が運用中のGOSAT衛星搭載のCAI(雲・エアロゾルイメージャ)データに基づき開発を行った.本手法は,他衛星データへの適用も可能である.特に平成27年度7月に稼働を開始した「ひまわり8号」衛星搭載AHI(高性能ひまわりイメージャ)データは,静止軌道衛星ゆえ高頻度の衛星観測データが得られる.衛星からのエアロゾル導出は晴天域に限られるため,高頻度データの取得は今後のPM2.5濃度分布継続観測に大いに役立つと言える.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Earth Science Reviews
巻: 145 ページ: 85-116
10.1016/j.earscirev.2015.01.012
Proc. IEEE IGARSS 2015
巻: N/A ページ: 2206-2209
10.1109/IGARSS.2015.7326243
10.1109/IGARSS.2015.7326278
巻: N/A ページ: 2210-2213
10.1109/IGARSS.2015.7326244