研究課題
基盤研究(C)
標準的放射線療法である2Gy/dayのX線を30日以上照射し続けても増殖する臨床的放射線耐性(clinically relevant radioresistant; CRR)細胞を複数の細胞株から樹立することに成功した。作用機序の異なる様々な抗がん剤に対する感受性をHigh Density Survival (HDS) assay及びWater Soluble Tetrazolium salts (WST) assayで解析した結果、樹立した全てのCRR細胞は微小管を標的とする抗がん剤ドセタキセル(docetaxel; DTX)に耐性を示すことが分かった。また、親株ではX線照射又はDTX処理により、ミトコンドリア(mt)からのROSが検出されるものの、CRR細胞では検出されないことが分かった。このことから、CRR細胞のDTX耐性にはmtが関与しているのではないかと考え解析を進めた。平成25年度においては、臭化エチジウム処理により複数の細胞株からmtDNA欠失(ρ0)細胞の樹立を試み、HeLa細胞及びSAS細胞からρ0細胞の樹立に成功した。ρ0細胞のmt膜電位を解析すると、親株に比べて低下しており、CRR細胞でも同様の傾向が見られた。HeLa-ρ0及びSAS-ρ0細胞のX線感受性及びDTX感受性をHDS assayで解析すると、親株に比べて耐性であることが分かった。また、X線照射やDTX処理したρ0細胞のmtからROSが産生されないことも明らかにした。以上の結果から、mtがX線やDTX感受性に関与していることが強く示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度において、ρ0細胞の樹立に成功しており、ρ0細胞がX線及びドセタキセルに耐性を示すことを明らかにしたため。
ミトコンドリア電子伝達系の個々の複合体を阻害剤を用いて阻害して、X線耐性及びドセタキセル耐性に関与していると考えられる複合体を特定する。また、メタボローム解析を行い、放射線耐性細胞の代謝系を解析する。
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