研究課題/領域番号 |
25340027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小幡 美貴 新潟大学, 医学部, 教務職員 (00420307)
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研究分担者 |
三嶋 行雄 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30142029)
木南 凌 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40133615)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | BCL11B / p53-MDM2フィードバックループ / がん抑制因子 / DNAチップ解析 / SWI/SNF複合体 / グリセロール密度勾配遠心法 |
研究概要 |
BCL11B変異によるMDM2転写抑制作用とp53との関連性について検討した。ヒトT-ALLで報告された8種類の点変異BCL11B発現ベクターを作製し、MDM2のプロモーター領域に対してレポーターアッセイを行った。その結果、HCT116細胞ではP2プロモーター活性に対してBCL11Bのヒスチジン変異体(H445YとH473Q)で抑制効果が減弱した。また、p53欠損HCT116細胞では変異による機能阻害を認めず、p53依存性であることが判明した。また、p21に対しては、BCL11Bによる転写活性の抑制はp53非依存性であり、BCL11B変異で転写活性抑制が減弱されたがMDM2に対する効果に比して少なかった。 Bcl11b陽性のマウスエナメル芽細胞由来mHAT9a細胞系で RNA干渉によりBcl11bをノックダウンしγ線照射によるp53-MDM2の周期変動に与える影響につい解析を試みた。その結果、Bcl11bタンパク量の低下によりp53-MDM2の周期変動に僅かであるが違いが認められたが、RT-PCR法によるmRNA量の変動は確認されなかった。 Bcl11bの条件付きKOマウスを用いてDNAチップによる遺伝子発現解析を行った。その結果、野生型に比べBcl11b発現量の減少によりMDM2・p21の発現量に増加傾向が認められ、p53の発現量が減少傾向にあった。 また、BCL11BがSWI/SNF複合体の一員として転写に関与し、変異による発がん機構はSWI/SNF複合体機能障害によるとの報告があった。そこで、BCL11B陽性のヒトT細胞白血病由来MOLT4F細胞から核抽出液を調製し、グリセロール密度勾配遠心法で分画した。その結果、複合体が存在する分子量の大きい画分でBCL11Bと共に数種のSWI/SNF複合体の構成タンパクが確認され、BCL11Bが複合体の一員であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度当初より動物実験施設の改修工事の為、マウスの飼育に制限があり動物個体を用いた実験に着手することが難しかった。よって、細胞系を用いた解析を中心に進めてきた。 BCL11BがSWI/SNFコンプレックスの一員であるとの知見が発表されたのを踏まえ、培養細胞系を用いて、BCL11BとSWI/SNFコンプレックスとの関係を検討してきた。 この結果により、BCL11B変異の放射線応答への影響を培養細胞系での検討を優先したい。
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今後の研究の推進方策 |
BCL11BのSWI/SNF複合体における役割に着目し、BCL11B変異による放射線応答への影響について検討する事を優先したい。よって、マウス個体を用いた解析に先駆け、培養細胞系を用い、BCL11B変異体発現ベクターをトランスフェクションにより導入し、核タンパクを調製して解析に用いる。また、マウス個体においてもBcl11bがSWI/SNF複合体に存在する事を確認し、Bcl11b変異を持つマウスを用いた解析にも着手する。
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