研究課題
N-methylpurine DNA glycosylase (MPG)は、脱アミノやアルキル化プリン塩基などを除去し、突然変異を防止している。本年度の研究では、MPGと細胞内タンパク質との相互作用に基づくBERの制御について、以下の知見を得た。1)ApexノックダウンMEFはMMS感受性の増加が認められたが、Polβ-KO細胞ではより高いApexノックダウンレベルと、MMS感受性増大が認められた。2増殖停止細胞においてBER効率の有意な低下がある一方、MMS生残率はPolβの有無によらず、Wild type細胞に比べて有意に高く、MMSの致死作用は主としてBER中間産物由来のDSBの形成によると考えられる。3)FLAG-MPDをMEFに強制発現し、MMS処理時のMPG複合体領域に集簇するタンパク因子の解析を行った。FLAG-MPGと共沈したタンパク質をSDS-PAGEゲルより回収し、LC-MS/MSにより解析した結果、13種の新奇タンパク質が同定された。このうちDNAJA1、MLH1やproteosome関連因子を含む 7種はMMS処理後に結合が増加し、HSC70など含む5種の共沈にはMMS処理の影響が見られなかった。MMS処理により結合が減少したものは、既知のPCNA以外にRPA2のみが同定された。そこで、MMS処理に伴う、HSC70、RPA2に加えて、MPGとの結合が知られているp53およびPCNAとの結合の変化を調べた結果、MMS濃度(0.25~0.75 mM)依存的にDSB形成を示すγH2AXが検出された。また、PCNAおよびRPA2の共沈量はMMS濃度に依存して減少し、p53の共沈量は増加した。これらのMMS依存性変化は、同レベルのγH2AX の形成が起こるMMS濃度で比較した場合、Polβ-KO MEFでは大きく減少した。
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