研究課題
MXL-3はbHLH-LZ (basic helix-loop-helix-leucin zipper) ドメインを有する転写因子で、哺乳類Max転写因子のホモログとして知られおり、飢餓ストレス下における脂質代謝に関与していることが報告されている。飢餓状態で栄養がなくなると細胞が弱り、さまざまな病気に罹りやすくなるので、生物が飢餓状態に陥ると、さまざまなストレスに対する防御機構を強めることが分かっている。これまでの研究から線虫C. elegansの耐性幼虫期にX-線照射によるストレスをかけるとMXL-3遺伝子の発現上昇が起こることを見出してきた。放射線による細胞障害は生体内の水と反応して発生する活性酸素が大きく寄与すると考えられていることから、生体内に活性酸素を過剰に発生させるパラコートをC. elegansの野生株に曝露させ、MXL-3の酸化ストレス応答への関与を調べた。MXL-3は、解毒代謝酵素や抗酸化酵素などの発現を誘導するSKN-1転写因子と結合することが報告されており、これらが酸化ストレス応答に関与する可能性が示唆されている。そこで、RNAi法を用いてSKN-1とMXL-3との関わりを調べた。パラコート処理したMXL-3突然変異体は野生株に比べて高い感受性を示し、skn-1遺伝子をRNAi処理した野生株はMXL-3突然変異体と同程度のパラコート感受性を示した。skin-1遺伝子をRNAi処理したMXL-3突然変異体にパラコート処理を行ってもMXL-3突然変異体にパラコート処理したものと同程度の感受性を示したことから、MXL-3とSKIN-1が同じシグナル伝達経路上で働いていることが示唆された。このことから、MXL-3は脂質代謝に加えて、SKN-1と協調して酸化ストレス応答にも関与していることが示唆された。
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PLOS ONE
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