研究実績の概要 |
酸化的損傷を検出する蛍光プローブを合成する目的で、8-carboxymethylphenyl-4-methoxy-4-fluoro-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene (methoxy-BODIPY誘導体) の大量合成を行った。昨年度に確立した方法を用い、必要量のmethoxy-BODIPY誘導体を得ることができた。この化合物は、デオキシグアノシンと結合させるため、デオキシグアノシンのデオキシリボース(dG)部の5'位の水酸基のみを無保護の状態にした、dG誘導体を合成した。その後、DCC、ピリジンで反応させ、脱保護を行うことにより、methoxy-BODIPY誘導体とdGが隣接した目的の化合物(methoxy-BODIPY-dG)を合成することができた。得られた化合物は中程度の蛍光性を示した。このmethoxy-BODIPY-dGは酸化的損傷を誘引するフェントン試薬の処理により、蛍光が減弱することが確認された。他の種類のBODIPYでは通常、dGに隣接するだけで蛍光が減弱することを明らかにしている。以前に合成したBODIP-FLとdGの隣接体BODIPY-dGでは、同様のフェントン試薬の処理で蛍光の強度の上昇、dG部位をアシクロビルに置換した場合では蛍光の変化はないことも同様に確認した。そのため、用いる蛍光試薬によって、損傷のメカニズムを区別して測定できる可能性があることが示された
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