研究課題/領域番号 |
25340039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
池田 正五 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10176092)
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研究分担者 |
河野 真二 岡山理科大学, 理学部, 助教 (00600222)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヌクレオチド除去修復 / アルキル化損傷 / 塩基除去修復 / 分裂酵母 / 損傷認識 |
研究概要 |
ヌクレオチド除去修復(NER)によるアルキル化損傷DNAの修復開始段階を、分裂酵母を用いて遺伝学的および生化学的に解析した。通常、MMSによるアルキル化損傷は塩基除去修復(BER)により修復される。ゲノム全体を対象としたNER(GG-NER)の初期過程に働く遺伝子rph7とrhp41のBER酵素とのMMS損傷修復におけるエピスタシス解析により、Rph7pはAPサイトをRhp41pはアルキル化塩基とAPサイトを認識してNER過程に導いていることが判明した。両因子ともにBERで生じるも3’ブロックには作用しなかった。Rhp41p/Rhp23p(ヒトのXPC/HR23ホモログ)複合体の結合特性を解析するために、大腸菌で同複合体を共発現させる系を作成した。Rhp7pとRph16pは複合体をつくり、その遺伝子は互いに逆向きに隣接している。これらの遺伝子のDNA損傷による発現誘導を調べたところ、UV損傷のみならずMMSによっても誘導された。現在、誘導に関わるプロモーター領域を欠失解析により検索している。出芽酵母のRhp7p/Rph16pホモログはUV損傷に誘導されるヒストンH3のアセチル化をともなうクロマチンリモデリングに関わる。分裂酵母のUVやMMS損傷に誘発される全ゲノムのH3アセチル化(K9/K14)をウエスタンブロッティングで検出した。種々の損傷・修復条件で比較したが、変化はみられなかったので、分析方法の改善を試みている。NERエンドヌクレアーゼのRhp16p/Swi10p(ヒトのXPF/ERCC1)はMMS損傷のBER過程で生じる3’ブロックにも作用することが遺伝学的に判明した。これを生化学的に証明するために、大腸菌で同複合体を共発現させる系を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、遺伝学的な解析は予測通りの進行具合で実施することができ、Rph7pはAPサイトをRhp41pはアルキル化塩基とAPサイトを認識してNER過程に導いていることを明らかにすることができた。また、これらを生化学的に証明するための発現プラスミドの作製(Rhp41p/Rhp23p複合体とRhp16p/Swi10p複合体)も行うことができ、平成26年度に精製や機能解析を行う予定である。ヒストンH3のアセチル化をともなうクロマチンリモデリングに関わる実験については、年度を前倒して実験を行ったが、実験方法上の問題も見つけることができたので、平成26年度に再実験する。このように、平成25年度はおおむね実験を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の方針通りに研究を進める。平成26年度は特に、生化学的な解析に重点を置きたい。アルキル化損傷の鎖特異的損傷の検出法を開発し、転写に依存した修復の解析を、NER欠損株を用いて解析する。また、大腸菌で発現させたNER因子を精製し、機能解析を行いたい。さらに、rhp7/rhp16遺伝子のUVやアルキル化損傷による誘導に関わるプロモーター領域の検索や、Rhp7p/Rph16pがヒストンH3のアセチル化をともなうクロマチンリモデリングに関わるか、再度検証したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算の9割以上を使用したが、出張回数が1回であったり、既存の試薬類を使うことができたりしたので、15万円弱の繰り越し金が生じた。 本研究で用いる比較的高価な抗体試薬などの購入に充てる予定である。
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