研究課題/領域番号 |
25340040
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
坂本 文徳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (60391273)
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研究分担者 |
大貫 敏彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (20354904)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究員 (80354877)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / 酵母 / 微生物 / 一遺伝子欠損酵母 / 放射性セシウム回収 |
研究実績の概要 |
福島第一原発の周辺地域で放射性セシウムによる環境汚染が問題となっている。住居エリアでは徐々に除染が進んでいるが、森林はほとんどが手つかずのままである。鉱物や有機化合物、植物等を利用した除染活動が試みられており、どれも決め手を欠く状況となっている中、微生物による放射性セシウム回収の可能性が探られている。本研究では、微生物または生体物質を利用した、福島第一原発より環境中に大量に放出された放射性セシウムの効率的な回収・除染への知見を提供する。 平成25年度は、5416種類の酵母株を、放射性セシウムを含む寒天培地上で複数回培養し、全ての酵母株についてその成長度合いとセシウム濃集割合を評価した。その結果、1コロニー辺り30ベクレル以上の放射性セシウムを濃集する酵母を130株程度特定した。それとは逆に、放射性セシウムを濃集しない酵母も50株程度特定した。 平成26年度は放射性セシウムに耐性のない酵母株を10種類特定した。その株に欠損している遺伝子を調べたところ、6種類までが液胞膜合成に関連した遺伝子であった。そのことから、放射性セシウム耐性には液胞膜合成に関連する遺伝子が関係していることを明らかにした。 平成27年度はCs-137存在下で発現するタンパク質を特定する試験を行った結果、4種類のタンパク質が発現し、2種類のタンパク質が発現しなくなることを明らかにした。本成果は、平成27年度の日本生化学会で発表を行った。また、同じ真菌微生物である酵母ときのこを用いてCs-137を濃集する野外試験を福島県内の汚染森林内で実施した。0.08平方メートルの区分けから酵母で最大75 Bq、きのこで最大86BqのCs-137を濃集した。以上の成果から、当初の計画を達成した。今後もこの研究を進め、さらに効率的な放射性セシウム除去技術の確立に努めていく。
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