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2013 年度 実施状況報告書

DNA二本鎖切断モデルの構築と、それを用いた修復と低線量影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25340044
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

本間 正充  国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 部長 (30250179)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワードDNA 修復 / 放射線防護 / 低線量モデル / 発がん
研究概要

放射線によって生じるDNA二本鎖切断(DSB)のモデルとして、制限酵素I-SceIに注目し、ヒト細胞ゲノム中にI-SceI部位を導入し、ゲノム中にたった1つのDSBを発生させる低線量モデルをこれまで完成させた。当該年度は、放射線によって生じるより近似的なDSBモデルを構築した。
すなわち、制限酵素によるDSBは単純なライゲーションによって元通りに修復される場合が多い(conectableモデル)のに対して、放射線によって誘発されるDSBは断端が不規則であり、エキソヌクレアーゼによるプロセッシングを経て、修復される。このようなより放射線に近いタイプのDSBのモデルとして、2つのI-SceI部位を逆向きに繋げ、生じたDSBの断端が必プロセッシングを受けないと修復されないようなDSBの近似モデル系の構築に成功した(unconectable モデル)。本系をもつ2つ細胞モデルをTSCE206、TSCE218と命名した。
TSCE206、TSCE218、そして比較対照としてこれまでのconectableモデルであるTSCE105を用いて突然変異頻度、変異体解析解析を試みた。UnconnectableモデルであるTSCE206、TSCE218の方が、高い変異頻度を示す傾向にあった。しかしながらその差は有意なものではなかった。LOH解析の結果ではTSCE206とTSCE105の間に違いは確認されなかった。シーケンス解析によってI-SceI siteでの再結合部位の構造を解析したところ、TSCE105よりもTSCE206の方が長い領域の欠失型突然変異が観察された。以上のことからunconnectableの方が単純な再結合が起こりにくいために、Non-homologous end-joiningの過程でエキソヌクレアーゼによるプロセッシングが働き、欠失の領域が長くなる可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画では、当該年度は、放射線によって誘発されるより近似的なDSBはモデルの構築であったが、この目的は達成された。さらに、そこでの突然変異の特徴の解析に至った。シークエンス解析は、まだ数が不十分と思われるが、計画以上の進行と考える。
また、26年度以降の予定となっているDSBの相同組み換え修復機構の解析と、内的修飾因子の役割の解明について、すでにブルーム症候群のモデル細胞の開発を目的として、本試験系を基礎としたBLMノックアウト細胞を作成を試みており、期待した結果が出ている。

今後の研究の推進方策

当該年度で完成したモデル系については、突然変異体のシークエンス解析をさらに続ける。また、本系での研究成果はこれをもって26年度中に論文化する予定である。
26年度以降の予定となっているDSBの相同組み換え修復機構の解析と、内的修飾因子の役割の解明については、計画に従いBLMノックアウト細胞の特徴の解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額の65,785円は、年度内に注文を行ったが、年度末に納品が間に合わず、会計上、次年度に支払いとなったものである。
26年度初頭に速やかに支払いを行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Tracing the fates of site-specifically introduced DNA adducts in the human genome2014

    • 著者名/発表者名
      Manabu Yasui, Yuki Kanemaru, Nagisa Kamoshita, Tetsuya Suzuki, Toshiya Arakawa, Masamitsu Honma
    • 雑誌名

      DNA Repair

      巻: 15 ページ: 11-20

    • DOI

      10.1016/j.dnarep.2014.01.003

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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