研究課題
甲状腺ホルモンの初期応答遺伝子の活性化は、遺伝子調節領域においてホルモンが受容体に結合し、その複合体が転写調節タンパク質と複合体を形成する中で、ヒストン修飾酵素やクロマチン再構成因子によるエピジェネティックな変化を伴って進行する。本研究では、このエピジェネティックな変化に及ぼす化学物質の作用に焦点を絞って、解析を行った。ホルモン応答性の培養細胞を用いて、甲状腺ホルモンのシグナル伝達を撹乱する化学物質として、臭素化難燃剤テトラブロモビスフェノールA (TBBPA)と塩素系除草剤イオキシニル(IOX)を選別した。また、解析対象遺伝子として、甲状腺ホルモン受容体ベータ遺伝子(Thrb)、転写調節因子TH/bZIP遺伝子(Thibz)を選別した。エピジェネティックな変化として、ヒストン修飾(アセチル化とメチル化)とRNAポリメラーゼIIのリン酸化、DNAのシトシンのメチル化を検討した。DNAのメチル化レベルは、解析した遺伝子において、ホルモンによって影響を受けなった。上記の化学物質は、ホルモンよるヒストンとRNAポリメラーゼIIの修飾を部分的に抑制した。本研究は、甲状腺撹乱化学物質が標的遺伝子のエピジェネティックメモリーを変化させる初めての報告である。同様の研究を両生類オタマジャクシを用いて試みた。撹乱作用に組織特異性が認められた。また、化学物質のエピジェネティックな効果はヒストンやRNAポリメラーゼIIの個々の修飾で差異があった。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Cell Biosci.
巻: 6 ページ: 2
10.1186/s13578-016-0067-9
巻: 6 ページ: 19
10.1186/s13578-016-0087-5
Gen. Comp. Endocrinol.
巻: 217-218 ページ: 43-53
10.1016/j.ygcen.2015.04.006
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 467 ページ: 33-38
doi: 10.1016/j.bbrc.2015.09.132.
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~sbkyama/