研究課題
PCBおよびブロム化難燃剤は残留性化合物の代表として、知られており、ブロム化難燃剤もPCB同様に、化審法の第一種特定化学物質に指定された。また、それらの水酸化代謝物は生理活性を示す活性代謝物として、注目されている。これらの代謝物は芳香環に結合したハロゲン分子に水酸基が隣接することで、甲状腺ホルモンとの構造類似性を示す。この点に注目して、これらの水酸化代謝物を合成し、甲状腺撹乱作用における代謝的活性化の観点から検討してきた。これまでに、これらの水酸化代謝物は甲状腺ホルモン受容体に結合すること。甲状腺ホルモン依存性機能性蛋白質protein disulfide isomerase活性の働きを撹乱すること。甲状腺ホルモンの血中濃度調節に機能するiodotyronine deiodinase活性を阻害することを見出した。27年度は、さらに水酸化代謝物の甲状腺ホルモン撹乱に係るターゲットの検索を行った。その結果、甲状腺ホルモンの消去系に関与する核内受容体を介した甲状腺ホルモンの代謝酵素系へ影響することを見出した。水酸化代謝物が幾つかの核内受容体活性を活性化することで、甲状腺ホルモンの代謝酵素を誘導することになり、消去系を活性化した。一方、これらの水酸化代謝物をラットに投与したが、有意な影響を認めるには至らなかった。しかし、新生仔ラットに投与し、成長後の影響に関する研究は継続中である。なお、これらの水酸化代謝のターゲットに対して、放射線照射が複合的に影響するかについての実験系を確立するには至らなかったが、さらに研究を継続する。
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