研究課題
平成27年度の研究計画に基づき、以下の研究を行った。1:成体マウスへのヒ素飲水投与実験による各組織のPlGF発現解析:26年度までに、成体マウスへのヒ素投与を0, 0.3, 3, 30 microMの濃度を用いて行っており、これらのマウスの皮膚、肝臓、腎臓、小脳、脳幹、大脳、尿、フン等におけるヒ素濃度の上昇が認められたため、サンプル中のPlGF濃度の測定を行った。PlGF遺伝子発現量の変化を測定するため、各組織からmRNAを抽出、cDNA合成の後、realtime-PCR法によりその発現量を測定した。その結果、一部の臓器でPlGF遺伝子発現量の増加が認められ、ヒ素曝露によるPlGF遺伝子発現増強の可能性が示唆された。タンパク質レベルでの発現変化を明らかにするため、組織切片を作成し、抗PlGF抗体を用いた組織免疫染色法によるPlGFタンパク質の検出を試みた。その結果、一部の組織でヒ素曝露によるPlGFタンパク質量の増大が検出された。この結果は、ヒ素曝露によるPlGF発現上昇は遺伝子発現レベルだけでなく、タンパク質レベルでも増大していることが示唆された。2:妊娠マウスへのヒ素飲水投与実験による胚及び誕生仔のヒ素蓄積量の測定:成体だけでなく、胎児期におけるヒ素曝露の影響を明らかにするため、妊娠が確認されたマウスに対するヒ素飲水投与を実施した。その結果、ヒ素曝露によって退治での日その蓄積が観察された。3:ヒ素誘導性皮膚癌発症の予知・予防に利用できる新規分子の同定・解析:HaCaT細胞へのヒ素暴露によって発現が変動する分子をマイクロアレイ解析によって同定することにより、新たな関連分子の童貞及び解析を試みた。アレイデータにより選別された遺伝子の一つであるE分子は、HaCaT細胞へのヒ素曝露によってその発現上昇が確認された。E分子は発癌との関連が報告されており、ヒ素誘導性発癌の原因分子の一つであることが示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (1件)
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