研究課題/領域番号 |
25340054
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
武田 庄平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40222096)
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研究分担者 |
鈴木 馨 東京農工大学, 農学部, 准教授 (90226499)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動物福祉 / 環境エンリッチメント / 行動学 / 実験系心理学 / 動物生理学 / 動物園動物 / 環境評価 |
研究実績の概要 |
動物園が有する4つの社会的機能(1.リクリエ-ション、2.環境教育・自然教育、3.種の保存、4.研究)を達成させるため必要なことは、動物園で飼育展示されている動物が有する本来の行動パタ-ンの発現が保証された、動物福祉が達成された活き活きとした生活環境で生活している場面を来園者に展示することである。そのための施策としての環境エンリッチメントの効果的な実施方法を策定するために、研究代表者の武田は、川崎市夢見ヶ崎動物公園(川崎市幸区南加瀬1-2-1)のリスザル集団における樹上性の生活パタ-ンを保証するために、展示施設内の上部に木製回廊を設置した。その効果を設置後1週間、1か月、2か月経過後の中期的な観察だけではなく1年経過後の長期的観察も行った。その結果、回廊の利用頻度は低下せず、リスザル集団は本来的な樹上性生活の様式を発現させることができていることが確認できた。さらに東京都多摩動物公園(日野市程久保7-1-1)で飼育展示されているユキヒョウにおける嗅覚刺激を用いたエンリッチメントの短期的実験を行い、嗅覚刺激の質的違いによる行動の変容について検討した。また、研究分担者の鈴木は、実験室における飼育環境エンリッチメントの実施過程における福祉的効果を評価する指標作りを行っているが、飼育環境への適応度の程度のを表す生活史と、これに影響を与えうる生理的機能における変化とを指標として用いて評価を行った結果、発育関連の項目としての身体および認知機能発達の程度、繁殖機能に関連する項目としての繁殖機能発達速度、健康維持に関連する項目としての白血球機能についての評価手法を確立し、飼育環境エンリッチメントの実施の過程においての適用のあり方等についての示唆も得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初に予定していた年度計画を反映した実験研究が進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の武田は、動物園においては、平成25年度・平成26年度に実施した中・長期的な環境エンリッチメント実施の効果の測定について、さらに追跡調査を行う。また環境エンリッチメントの実験対象種および環境エンリッチメントの種類を追加して、動物種・環境エンリッチメントの種類とその実施期間の長さの効果についての実験観察を継続的に行う。 研究分担者の鈴木は、実験動物を対象として確定しつつある評価方法を使用した、飼育環境エンリッチメント実施の過程における動物個体に認められる福祉的効果についてさらにより詳細な分析を行っていく。 また、平成27年度は最終年度にあたるため、両者の研究成果を取りまとめる作業も併せて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた物品購入予算よりも低額で収まったこと、および当初計画していた出張予算が低額で収まったため。
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次年度使用額の使用計画 |
全天候型小型ビデオカメラと映像記録の分析のためのDVDデッキ等の購入を行うとともに、環境エンリッチメント実験のための資材の購入、および実験補助者の雇用のためにあてる。
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