研究実績の概要 |
黄砂やPM2.5などの大気汚染物質による健康影響が懸念されているが本邦での調査研究は少ない。特に児童への短期影響に関する調査はほとんどない。黄砂やPM2.5などの大気汚染物質の短期曝露が児童の呼吸機能、症状にあたえる影響について調査を行った。 松江市内の10歳~11歳の小学校児童768名を対象にした。登校後の朝礼時にピークフローメーターを用いて呼吸機能の測定を行った。また、呼吸器症状(咳と痰)および皮膚症状について、なし=0点、少し=1点、多い=2点で規定し記載を行った。記録用日誌を用意し児童毎に記録した。調査期間は2014年1月から5月の期間で行い調査は終了した。 日誌は回収が終了しておりデータ入力をすすめている。今後、SPM, PM2.5, NO2, SO2, O3などの大気汚染物質と児童の呼吸機能、症状との関連について解析を行う。また、松江市にはLIDAR(Light Detection and Ranging)システムが設置されている。LIDARが測定する土壌性ダストを反映する非球形消散係数、および大気汚染物質を反映する球形消散係数と児童の呼吸機能、症状との関連についても解析を行う。 大気粉塵を捕集し季節毎の毒性の相違を炎症性サイトカインの産生の違いによって評価を行っている。この評価は感度が優れているTHP-G8細胞を用いてinterleukin-8の発現を測定することで行っている。時期毎に大気粉塵のIL-8産生が異なっていることを確認しており、この違いがヒトへの健康影響に差異を生じさせるかについても今後評価を行う予定である。
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