研究課題/領域番号 |
25340062
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 教授 (20441959)
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研究分担者 |
田辺 信介 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60116952)
亀田 豊 千葉工業大学, 工学部, 助教 (60397081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微量有害物質 / 生物試料 / パッシブサンプラー / 南西諸島 / サンゴ礁 |
研究実績の概要 |
地表からの有害物質が主として地下水を経由して沿岸海域に流出する隆起サンゴ礁島嶼における有害物質環境汚染調査手法として、陸生生物を用いた地表における汚染探索手法と、砂浜等の浅層地下水中にパッシブサンプラーを設置することによる面的な汚染流出過程調査手法を確立し、これらを組み合わせることによって、陸域から沿岸サンゴ礁海域に至る一連の有害物質流出汚染過程モニタリング手法の確立を目指している。 1.生物試料を用いた陸域有害物質発生源の探索と陸域環境中での分布調査手法の研究と試行 平成25年度に検討した各小地域のうち、那覇市においてマングース8検体、沖縄島中部西海岸方面においてマングース1検体およびハブ16検体を収集した。マングースについては筋肉および肝臓を、また、ハブについては筋肉、肝臓、脂肪組織を分析し、有機ハロゲン化合物およびダイオキシン類の濃度を測定した。マングースの分析結果を他地域における既存分析結果と比較することにより、有害物質の環境中分布を示す情報が得られた。また、ハブの分析結果は小地域内における有害物質濃度の分布を示すものとなった。 2.地下水を経由した礁池への有害物質流出過程調査手法の研究と試行 前年度検討した沖縄島読谷村および糸満市の砂浜において、地下水面下にパッシブサンプラーを埋設し、農薬類の流出状況を継続的に観測した。また、水深の浅い水底へのパッシブサンプラー設置方法を検討し、薄型パッシブサンプラーとレンガ等によるウエイトによる手法を用いることとした。礁池内の海底地下水湧出地点におけるパッシブサンプラーを内蔵したシーページメーターによる、湧出水中の化学物質の分析については、現在研究を行っている。分析対象とする農薬について、パッシブサンプラー(Chemcatcher)のキャリブレーション試験を実施し、サンプラーへの吸着速度を算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に沿って概ね進行しており、生物試料の分析数の増加により有害物質分布状況に関する評価が可能となり、また、砂浜地下水観測手法についても、サンプラー設置方法やキャリブレーションが進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.生物試料を用いた陸域有害物質発生源の探索と陸域環境中での分布調査手法の研究と試行:生物試料収集地点における土壌および底質試料の分析を行い、生物試料中の各物質濃度との比較を行う。また、ハブ試料の収集地域を広げ、小地域内での汚染分布状況を調査手法としての有用性を評価する計画である。 2.地下水を経由した礁池への有害物質流出過程調査手法の研究と試行:引き続き、礁池内の海底地下水湧出地点においてパッシブサンプラーを内蔵したシーページメーターを設置し、湧出水中の化学物質を分析して局部的な湧水の寄与を観測する。 また、海中も含む側線上に設置した複数のパッシブサンプラーにより、砂浜地下水による微量物質の流出状況観測を試みる。 3.結果の解析・とりまとめ:各小地域周辺における各有害物質の発生源とマングースおよびハブ物試料の体内濃度の空間分布を整理し、有害物質の土壌中濃度測定結果とも比較して、琉球列島における生物試料分析の地表での有害物質発生源探索と汚染状況把握への有用性を評価する。パッシブサンプラーを用いた地下水中の有害物質検出濃度を整理し、想定される有害物質発生源との関係を分析する。検出濃度と地域内の水収支に基づいて研究対象とした礁池海水への有害物質流出量を推定し、地下水経由の有害物質流出を評価する上での有用性を評価する。これらの検討に基づき、本研究で用いた手法の南西諸島隆起サンゴ礁島嶼環境における地表と地下の包括的な有害物質汚染源探索および汚染状況調査手法としての適用範囲を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入に際して少額の残金が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品購入時に使用する計画である。
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