研究課題/領域番号 |
25340064
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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研究分担者 |
辻 真弓 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40457601)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境 / アレルギー / 健康影響評価 / 特異的抗体 / 化学物質 / タンパク質 / プラスチック / 樹脂 |
研究実績の概要 |
平成26年度は前年度に引き続き対象者の募集を行い、樹脂(プラスチック)原料を取り扱う作業者、アレルギー患者、学生、一般人(年齢20~40歳程度)からアレルギー疾患やアレルギー症状の有無・生活環境における樹脂(プラスチック)の有無などに関する質問を含む自記式質問票の回収、血清採取を行った。結果として2,000名以上の方の自記式質問票の回答と血清を集めることができた。 ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの原料であるトルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、無水フタル酸(PA)、p-フェニレンジアミン(PEA)、ホルムアルデヒド(FA)、グルタルアルデヒド(GA)、アセトアルデヒド、無水マレイン酸、メチルアクリル酸等の樹脂(プラスチック)原料とHSAを種々の条件下で反応させ、それぞれの化学物質に対する診断用抗原を作製した。続いてニトロセルロース膜にこの化学物質に対する診断用抗原をスポットし、上記の血清と反応させ、さらに蛍光標識した抗ヒトIgG抗体を用いて、それぞれの化学物質に対する特異的IgG抗体を測定した。この測定は平成27年度も継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹脂(プラスチック)原料を取り扱う作業者、アレルギー患者、学生、一般人(年齢20~40歳程度)など2000名を上回る方から自記式質問票による健康や生活環境に関する情報と血清を集めることができた。これは初期の目標を上回る数字である。化学物質-HSA付加体を作製して、これを診断用抗原として対象者の血清中の化学物質特異的抗体を現在に測定しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は前年度に引き続き調査対象者血清中の化学物質特異的抗体の測定を行う。具体的には、トルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、無水フタル酸(PA)、p-フェニレンジアミン(PEA)、ホルムアルデヒド(FA)、グルタルアルデヒド(GA)、アセトアルデヒド、無水マレイン酸、メチルアクリル酸等の樹脂(プラスチック)原料でヒト血清アルブミン(HAS)を処理して種々の化学物質- HSA付加体を作製する。次にこれを診断用抗原として、樹脂(プラスチック)原料を取り扱う作業者、アレルギー患者、学生、一般人(年齢20~40歳程度)など2,000名以上の参加者の血清中の特異的抗体をドットブロット法により半定量する。 この結果を解析して化学物質ごとの特異的抗体保有率を明らかにする。さらに、対象者の募集、血清中化学物質特異的抗体の測定、総IgG,・総IgE・花粉や食材等に対する特異的IgEの測定、さらには生活とアレルギーに関する質問票調査の回答と組み合わせて、化学物質特異的抗体とアレルギーとの関係などについて統計学的に検討を行い、化学物質特異的抗体の健康影響評価における意義について解明する。 また、化学物質-HSA付加体をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離して、化学物質付加によるHSAの構造的変化を調べる。
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