研究実績の概要 |
研究者らが開発した、プラスチック原料モノマーやプラスチック前駆体への曝露を推測する方法(合成樹脂原料モノマーまたは合成樹脂前駆体への曝露の検出方法:特許第5757519号 平成27年6月12日取得)を用いて、一般人参加者の血清中の化学物質特異的IgGをドットブロット法により半定量した。 調査対象としたプラスチック樹脂モノマーは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、無水フタル酸、トルエン-2,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジアミン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの6物質であった。その結果、化学物質物質特異的IgGの保有率は、無水フタル酸>グルタルアルデヒド>トルエン-2,4-ジイソシアネート>ビスフェノールAジグリシジルエーテル≒ホルムアルデヒド>p-フェニレンジアミンの順であった。 次に上記6種類の化学物質と反応させたヒト血清アルブミン(化学物質- HSA結合体)をSDS-電気泳動(SDS-PAGE)により分離したところ、ヒト血アルブミン(HAS:コントロール)は分子量55,000付近にブロードなバンドとして認められたが、化学物質- HSA結合体はHSAの分子量よりも低いところに移動しているものや、二量体、三量体を形成しているものが認められた。さらにヒト血清でウェスタンブロットを行ったところ、この化学物質- HSA結合体に対して特異的抗体を有する者がいた。その反応は化学物質特異的抗体と反応した化学物質- HSA結合体に分子量による差はなく、どの分子量の化学物質- HSAも当該抗体により認識された。
|