研究課題/領域番号 |
25340084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原田 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50452066)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジフェニルアルシン酸 / 嫌気的微生物変換 / 硫酸還元菌 / チオ化 |
研究概要 |
土壌中のフェニルヒ素化合物は嫌気的条件で比較的早く脱フェニルやメチル化等の微生物代謝を受けることが知られていたが、最近の我々の研究で硫酸還元条件では比較的毒性が高いとされるチオ化物が主に生成することが判明した。本研究は、こうしたフェニルヒ素化合物の嫌気的変換に関与する微生物の性質を明らかにするとともに、チオ化フェニルヒ素化合物の土壌環境における動態の解明を目的とする。 平成26年度は、まずジフェニルアルシン酸(DPAA)をチオする嫌気性微生物のコンソーシアを土壌から複数確保し、16S rDNAを対象としたクローンライブラリー作成とシーケンシングを行った。その結果、いずれにも硫酸還元菌であるDesulfotomaculum属に近縁なクローンが含まれていた。そこで嫌気培養装置を用いて単コロニー分離を試みたところ、DPAAをチオ化してジフェニルチオアルシン酸(DPTA)を生成するDEA14株を得た。DEA14株は遺伝子分類学的な検討の結果、D. acetoxidansと同定された。硫酸還元菌の既知株であるDesulfovibrio aerotolerans JCM 12613TについてそのDPAAの嫌気的変換能を調べた結果、DEA14株同様にDPAAをDPTAに変換した。以上のことからフェニルヒ素化合物のチオ化は硫酸還元菌による硫化水素の生成に伴って生じる反応であることが明らかとなった。 また、DPAA以外のフェニルヒ素化合物からのチオ化物生成の可能性について検討した結果、フェニルメチルアルシン酸とジフェニルメチルアルシンオキシドが硫化水素と反応してそれぞれのチオ化物を生成することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はフェニルヒ素化合物のチオ化を担う微生物を明らかにした他、ジフェニルアルシン酸に加えて、フェニルメチルアルシン酸とジフェニルメチルアルシンオキシドからもチオ化物が生成することを示した。当初の計画通りの進捗状況である。 以上のことから本研究は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の展開として、さらに他のフェニルヒ素化合物についてチオ化物生成の可能性を検討するとともに、チオ化フェニルヒ素化合物の植物(イネ)への移行と根圏における動態の解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の納品遅れがあり、年度内の経理処理が間に合わないものがあった。代用品が確保できたため、研究の進展への影響はごく僅かであった。 物品費の一部として使用する。
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