研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の、海産多毛類イソゴカイへの、消化管を経由した移行動力学を明らかにすることを目的とする。今年度は、個体別飼育曝露系の確立、ゴカイおよび餌試料中PFOS分析方法の確立、PFOS添加餌作成方法の確立、確認実験を行った。個体別飼育曝露系として、これまでの我々の経験を踏まえ、実験の間、行動に異常なく、採餌を行い、容器外へ逃走しない個別飼育系を構築した。巣穴水の採水、および巣穴水中のDO計測方法を確立した。ただし、採餌率がやや低いことと、確認実験の際に巣穴をやや忌避する行動とが観察された。これらについては引き続き改良および対応を検討する。ゴカイおよび餌試料中PFOSは、既報に基づき、同位体希釈法により液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計を用いて行うこととして確立し、確認実験の試料の分析に適用した。PFOS添加餌は、PFOSメタノール溶液を餌と混合後、メタノールを揮散させることにより作成することとした。添加餌と未添加餌の採餌率に明確な差はなかった。ただし、餌あたりの添加量のばらつきが大きかったため、このばらつきを減らすための手法改良を平成26年度に検討する。確認実験を行い、曝露区で採餌した個体と対照区の個体をあわせた19個体から動力学に関するデータを得た。添加餌中の濃度とゴカイ中の濃度により予備的な動力学解析を行った。巣穴海水中の濃度は不検出であった。データのばらつきが大きかったが、取り込み効率および半減期の概略値を確認することができた。来年度行う予定の本実験の条件にこれらを反映させる予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画では、平成25年度は、個体別飼育曝露系の確立、ゴカイおよび餌試料中PFOS分析方法の確立、PFOS添加餌作成方法の確立、確認実験を行うこととしていた。これらの内容は実施が完了している。また、いくつか、さらに修正、改良が必要な点を特定できた。これらは、平成26年度に引き続き検討する計画となっており、そのように進める予定である。
現在まで当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展していることから、引き続き研究計画に沿って推進していく。
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Environmental Toxicology and Chemistry
巻: 32 ページ: 2009-2017
10.1002/etc.2270