研究課題
基盤研究(C)
本研究は、アジアの環境協力で利用可能な、将来的にはグローバルな標準になりうる河川管理ツールの開発に取り組むため、モンスーン地域の河川環境管理を行うシミュレーションモデルを構築し、政府や地域住民との協働を通じて環境対策の効果を定量的に示す方法論を模索することを目的としている。今年度は、タイ王国鉱物資源局(DMR)と公文書を交換の上、共同で研究を進めることとし、以下の研究を実施した。・タイの首都バンコクの西側にあるカンチャナブリ地方を対象として、フィールド調査を実施し、地域住民のヒアリングや鉱山周辺の河川水分析を通じて有害元素の汚染の実態を把握した。これにより、この地域の環境問題の経緯を正確に把握するとともに、対象地域の旧坑位置を特定し、その周辺の水質をPIXE分析によって明らかにすることができた。・本研究のシミュレーション計算に必要なデータの調査収集を行い、独立行政法人産業技術総合研究所で開発された産総研-水系暴露解析モデル(AIST-SHANEL)の適用可能性に関する検討を行った。その結果、対象地域としたタイとミャンマー国境付近のソントー集落周辺は石灰岩地帯で地形が特殊であるとともに、水流も単純ではないことが判明した。シミュレーションを正確に行うためには、さらに詳しい現地情報が必要となるため、今後はDMRを情報提供のハブとして他の政府部局から既存の現地データや資料を収集し、現行のシミュレーションモデルへの組み込みや改良点などについて検討する。
2: おおむね順調に進展している
日本とタイの共同でフィールド調査を行い、調査予定地点をほぼ巡回することができた。さらに、水質予測シミュレーションを行うための基礎となる地形確認と水質分析を実施することができた。
対象地域としたソントー集落周辺は石灰岩地帯で、地形が特殊な上、水流も単純ではない。シミュレーションを正確に行うためには、さらに詳しい現地情報が必要となる。そこで、DMRを情報提供のハブとして、他の政府部局から既存の現地データや資料を集める。また、秋には、カウンターパートをわが国に招聘し、第24回環境地質学シンポジウムにおいて研究成果の一部を発表してもらうとともに、現地情報を収集整理し、現行のシミュレーションモデルへの組み込みや改良点などについて検討する。
初年度に実施したフィールド調査の結果、本研究の対象地域は地形が複雑であること、水流も単純ではないことが判明したため、水質シミュレーションの準備作業を半年ほど延長し、慎重な解析を行うこととした。地形解析、流路解析、化学分析結果の入力などの水質シミュレーションの準備作業に使用する予定である。
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International Journal of PIXE.
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第23回環境地質学シンポジウム論文集
巻: November 2013 ページ: 99-104