メタクリル酸グリシジルとエチレングリコールジメタクリレートとを共重合して多孔性樹脂を合成した。また,クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンとを共重合して同様に多孔性樹脂を合成した。得られた樹脂を分級し,粒径,比表面積,細孔径,細孔容量などの樹脂特性を測定した。この樹脂にポリエチレンイミン600など種々の分子量を持つポリアミンをそれぞれ導入した。得られた樹脂の一部を元素分析し,窒素含有率を決定した。また,得られた樹脂を脱プロトン化し,次いで塩酸溶液中でプロトン化させ,この塩酸溶液を自動滴定装置で酸塩基滴定して樹脂中の窒素含有率を見積もる方法についても検討した。 次いで,樹脂に導入したポリアミンに無水酢酸を作用させ,N-アセチル化ポリアミン型樹脂を合成した。得られた樹脂において,24種類の元素の捕捉能力を検討したところ,これらの樹脂が金(III),白金(IV)およびパラジウム(II)に対し優れた捕捉能力を有することを明らかにした。なお, N-アセチル化時の無水酢酸量を増加させることにより,白金(IV)およびパラジウム(II)の捕捉は阻害される傾向にあったが,金(III)の捕捉は顕著な影響を受けなかった。一方,導入したポリアミンの分子量の違いについては,顕著な影響を見いだすに至らなかった。 さらに,樹脂に導入したポリアミンに塩酸共存下でパラホルムアルデヒドと亜リン酸とを作用させ,ホスホメチル化ポリアミン型樹脂を合成した。樹脂に導入されたポリアミンの窒素量に対し,パラホルムアルデヒドおよび亜リン酸の当量を変化させてホスホメチル化を行い,得られた樹脂をマイクロウエーブ分解してICP発光分光分析にてリンを定量したところ,当量の増加とともに樹脂中のリン量が増大していることを認めた。 なお,カルボキシメチル化ポリアミン型樹脂について,その元素捕捉能力を市販樹脂と比較評価した。
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