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2013 年度 実施状況報告書

活性バイオマンガン酸化物による多元素連続回収システム

研究課題

研究課題/領域番号 25340094
研究種目

基盤研究(C)

研究機関静岡県立大学

研究代表者

谷 幸則  静岡県立大学, 付置研究所, 准教授 (10285190)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードマンガン酸化菌 / 重金属回収 / 真菌
研究概要

本研究では、菌体外Mn(II)酸化酵素によってバイオMn酸化物(Biogenic Manganese Oxide; BMO)を産生するMn(II)酸化真菌Acremonium strictum KR21-2株を利用し、多種類の重金属イオンに適応可能な除去・回収法を開発することを目的とした。
A. strictum KR21-2株をMn(II)を含むHAY培地で培養した直後にBMOを回収し、溶存酸素を除いた系、アジ化ナトリウムを添加した系、または加熱処理した系で、Mn(II)の酸化反応を追跡したところ、BMOのMn(II)酸化速度が認められなかった。一方、溶存酸素を含む系では、連続的なMn(II)の酸化が認められた。また、BMOを還元溶解し、その溶液を限外ろ過で濃縮したところ、BMO相にMn(II)酸化酵素が安定に保持されていることが明らかとなった。以上の結果から、A. strictum KR21-2株が産生したBMOは、活性を保ったMn(II)酸化酵素が保持されており、連続的にMn(II)を酸化できることが明らかとなった。
A. strictum KR21-2株が産生したBMOをCo(II)イオンと混合したところ、溶存酸素存在下では、高いCoの収着が認められた。この時、Mn(II)イオンの溶出は認められなかった。一方、溶存酸素を含まない場合やBMOを加熱して保持された酵素活性を失活させた場合には、Coの収着は大幅に低下し、また、Mn(II)の溶出が認められた。XANESの結果から、収着したCoの一部はCo(III)に酸化されて不溶化していることが明らかとなった。これらの結果から、BMO相に保持されたMn(II)酸化活性が、Co(II)の酸化によって溶出したMn(II)をすみやかに再酸化し、高いCoの収着に寄与していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、菌体外Mn(II)酸化酵素によってバイオMn酸化物(Biogenic Manganese Oxide; BMO)を産生するMn(II)酸化真菌Acremonium strictum KR21-2株を利用し、多種類の重金属イオンに適応可能な除去・回収法を開発することを目的としているが、溶存態Mn(II)やCo(II)の濃縮が認められ、排水中からのこれらの重金属イオンの回収が可能なことが示された。

今後の研究の推進方策

A. strictum KR21-2株を形成したBMOには、Mn(II)酸化酵素活性が長期間に安定的に保持され、連続的なMn(II)の酸化が可能であること、その酵素活性による連続的なMn(II)の酸化が可能であることが示された。この特性を利用することで、多種類の重金属イオンの同時回収が可能であると考えられる。Mn2+, Co2+以外にZn2+, Ni2+, Cd2+などの重金属イオンの連続回収への可能性を検証し、本系を排水からの元素類の高い回収に必須であることを示していく。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] バイオ合成マンガン酸化物による微量元素の処理と回収2014

    • 著者名/発表者名
      谷 幸則, 常 佳寧, 渡邉淳一, 宮田直幸
    • 雑誌名

      用水と廃水

      巻: 56 ページ: 32-40

  • [雑誌論文] バイオインダストリー2014

    • 著者名/発表者名
      谷 幸則, 常 佳寧, 宮田直幸
    • 雑誌名

      微生物によるマンガン酸化物の形成を利用したレアメタルの回収法

      巻: 31 ページ: 34-40

  • [雑誌論文] Cobalt(II) sequestration on fungal biogenic manganese oxide enhanced by manganese(II) oxidase activity2013

    • 著者名/発表者名
      J. Chang, Y. Tani, H. Naitou, N. Miyata, H. Seyama, K. Tanaka,
    • 雑誌名

      Applied Geochemistry

      巻: 37 ページ: 170-178

    • DOI

      10.1016/j.apgechem.2013.07.023

    • 査読あり
  • [学会発表] バイオマンガン酸化物・マグネタイト混合物による微量重金属イオンの回収2013

    • 著者名/発表者名
      谷 幸則, 常 佳寧, Duangrat Inthorn, 宮田直幸
    • 学会等名
      日本水処理生物学会第50回大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131113-20131115
  • [学会発表] 真菌によって形成した活性バイオマンガン酸化物による重金属イオンの除去過程2013

    • 著者名/発表者名
      常 佳寧, 谷 幸則, 内藤博敬, 宮田直幸, 瀬山春彦
    • 学会等名
      日本水処理生物学会第50回大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131113-20131115
  • [図書] 微生物によるマンガン酸化物の形成とレアメタル回収への応用, 地球を救うメタルバイオテクノロジー2014

    • 著者名/発表者名
      谷 幸則, 宮田直幸
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      成山堂書店
  • [図書] Mn酸化物形成能を有する微生物によるレアメタルの回収, リサイクルバイオテクノロジーの最前線 (植田充美 監修)2013

    • 著者名/発表者名
      谷 幸則, 宮田直幸, 常 佳寧
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      シーエムシー出版

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公開日: 2015-05-28  

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