研究課題/領域番号 |
25340095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
陶山 寛志 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90305649)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光分解 / 粘着剤 / 接着剤 / 架橋 / 分解 / 剥離 / リサイクル |
研究概要 |
本年は、光分解性架橋剤の合成とそれを用いた架橋高分子の合成と分解について詳しく調べた。光分解性架橋剤としては当初から計画していた、コアであるベンゼン環から”重合性基と光分解性のアシルオキシムユニットが隣接した腕”を三本有する三官能のもの、および二官能のものを新規に合成し、各種スペクトル測定と元素分析により同定を行った。また、示差熱-熱重量同時測定によりこれらの架橋剤の耐熱温度は150℃以上と比較的高いことを確認した。これらの新規光分解性架橋剤はアクリル酸メチルと共に光分解の起こらない長波長で光重合することで、溶媒不溶の架橋フィルムを形成した。 できた架橋フィルムに254nmの紫外線を照射すると、アシルオキシムユニットに由来する紫外スペクトルの250~275nmのピークが減少した。また、紫外線照射前後の赤外差スペクトルで1740cm-1付近のピーク減少が確認できた。さらに、紫外線照射量の増加に伴い、フィルムをテトラヒドロフランに浸漬した後の膜厚は減少した。これらの結果より、紫外線照射によって架橋構造を崩壊させ、線状高分子に分解できることを確かめた。 回収した線状ポリマーの分子量をサイズ排除クロマトグラフィーで測定したところ、同条件で架橋剤を入れずに光重合したポリアクリル酸メチルホモポリマーと平均分子量は大きく変わらなかった。 以上のように、新規光分解性架橋剤の重合と紫外光分解が達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては、光分解性架橋剤および光極性変換基含有モノマーという二種類の新規材料を合成し基礎的評価を行う予定であった。しかし前者に相当する三官能光分解型架橋剤が合成でき、同様の方法ですぐに二官能のものも得られたので、これらの光重合および光分解の詳しい解析を計画以上に先行させた。一方、光極性変換基含有モノマーの合成は着手せず、遅れが生じた。計画にあった光剥離性評価もまだ全く行っていないので、全体的にはやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
全体としては当初計画に沿って進めるが、光極性変換基含有モノマーによるアプローチが遅れているのでこちらを優先させる。また光剥離性評価については、連携研究者の手元にUVレオロジー解析装置が新規に設置されたので、これも駆使してより精密な解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
少額のため次年度の交付分と合算して使おうと思ったため。 1年目の残金を合算し、2年目も当初計画に沿って使用する予定である。
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